井上尚弥とドネアの再戦を「私は見たくない」 WBSS主催者が断言する理由とは
ボクシングWBAスーパー&IBF同級王者の井上尚弥(大橋)が4団体統一を目指すバンタム級戦線。モンスターが次に誰と戦うのか注目となっている中で、今秋にシーズン3の開催が決まったワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のプロモーターを務めるカレ・ザワーランド氏は「THE ANSWER」の単独インタビューで、ドネアとの再戦には否定的な見解を示している。(取材・THE ANSWER編集部)
WBSSプロモーター、カレ・ザワーランド氏インタビューvol.4
ボクシングWBAスーパー&IBF同級王者の井上尚弥(大橋)が4団体統一を目指すバンタム級戦線。モンスターが次に誰と戦うのか注目となっている中で、今秋にシーズン3の開催が決まったワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のプロモーターを務めるカレ・ザワーランド氏は「THE ANSWER」の単独インタビューで、ドネアとの再戦には否定的な見解を示している。(取材・THE ANSWER編集部)
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4団体制覇を悲願にするモンスターだが、バンタム級の情勢は刻一刻と変わっている。井上が持っていないWBOとWBCのベルトをかけてジョンリエル・カシメロとノニト・ドネア(ともにフィリピン)が争うはずが、カシメロ陣営のドーピング検査回避の動きをきっかけに、ドネアが対戦をキャンセル。カシメロはWBA正規王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦することになった。
こうなれば、井上とドネアの再戦へ向けた機運は高まってきそうだが、ザワーランド氏はこう断言している。
「イノウエとドネアの再戦を期待する声はファンのみならず、ボクシング界にもあります。ですが、私はそうは思いません。1戦目はスペシャルな試合でした。“ドラマ・イン・サイタマ”という異名にふさわしい。あの名勝負の記憶を台無しにする可能性があります。だからイノウエ対ドネアの2戦目を私は見たくない。
確かにドネアとイノウエは大激戦でした。アジアのボクシング史上で最高の名勝負だったかもしれません。その結果、各国メディアで年間最高試合に選出されました。疑いの余地はありません。2人はあの決勝の舞台で全てを出し尽くしたと思います。ドネアは間違いなく殿堂入りするファイターです。オレなら戦える、勝てる、と言うでしょう。ですが、当時から2年も経っているのです。どんな偉大なファイターでも年齢に勝つことは困難です」
井上との対戦時に36歳だったドネアだが、今年の11月16日には39歳の誕生日を迎える。5月に当時のWBC王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)とのタイトルマッチでは往年の強さを見せつけたが、WBSSの決勝という頂上決戦から2年経った現在、実力差はさらに広がったのでは、とザワーランド氏は危惧している。
「ドネアは確かに凄かった。見せ場を作りました。激しい展開でしたが、イノウエが明確な勝者でしたから。もう決着はついていると思います」
ドネアは初対戦時に得意の左フックで井上に鼻骨と眼窩底の骨折などのダメージを与えた。フルラウンド打ち合い、健在ぶりを見せつけたが、判定で敗れた。当時は世紀の名勝負として脚光を浴びることになった、再戦すればどうなるのか――。ザワーランド氏は第1戦を超える盛り上がりは見られないだろうと推測している。
(THE ANSWER編集部)