井上尚弥は難敵カシメロをどう倒すのか 本人が描く攻略法、「じっくり削る」の真意とは
父・真吾氏が描く試合は? 「尚弥はアメリカウケする試合ができる」
父でトレーナーの真吾氏も同様の印象を持った。「勢いがあるし、引いて駆け引きもできる」とWBO王者を分析。「向こうの土俵に巻き込まれないように。頭がキレる方がいい試合ができると思うのでそこは慎重に行きたい」と見据えた。
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カシメロらフィリピン人ボクサーにとって6階級王者マニー・パッキャオは、母国の英雄である。さらにカシメロはパッキャオ経営の「MPプロモーションズ」に所属。レジェンドが後輩王者のボクシングに与える影響について、真吾氏は「もちろんあると思う。それも踏まえて勢いがあると思うので、それをこっちもどう抑えていくか」と警戒した。
本場・ラスベガス初上陸の一戦。試合を重ねるごとに世界的に注目度が上がっていっている。ともに戦う長男のどんな姿を世界に見せたいのか。
「カシメロなので、もの凄い試合になるんじゃないかなと。熱い中にも冷静さ、クールさ、それがあるかないかで全く変わってくる。尚弥はアメリカウケする試合ができると思う。すごく楽しみですね。どういうタイプにでも対応できるものを持っているし、いろんな引き出しを瞬間、瞬間に出せると思う。自分も期待してますし、それを見てもらいたいというのがある。一歩、二歩、上げていきたい」
親子はともに「冷静さ」を鍵にしている。それは井上の強みでもある。海外メディアを通じた再三再四の相手の挑発にも、井上は「毎度のことじゃないですか。そんなに気になってないですよ」と平然と言う。自らが対戦を臨んだ強敵、3つのベルトを懸けたビッグマッチ、初のラスベガス。興奮する要素はいくらでもある。本場で派手なKOをすることで世界へのアピールにもなるが、全てを備える井上は自らに言い聞かせるように冷静に戦うことを誓った。
「じっくりじっくり、ダメージを与えて削っていきます。じっくり。相手に合わせて打ち合うこともしない。(中盤KOになる?)そんなつもりですけど、何があるかわからない。1ラウンドで終わるかもしれないし」。
どんな相手にも抜かりなく準備を重ね、イメージトレーニングで何通りもの試合パターンを描く。リング上で予期せぬことが起きても対応できるように。そうやって今までこれだけのパフォーマンスを発揮してきた。
「WBSSの優勝後の試合になる。その勢いに乗ってそれなりの試合を、要はドネア戦を上回るような試合をしたい。一番は派手にKOするところを見せたいけど、それ以上に勝つことにこだわりたい」
決戦まで残り85日。早くカレンダーをめくりたい。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)