「世界一野球がうまい集団なのに…」 MLBのスター軍団ドジャースが試合前に“超地味練”ゴロ捕球を繰り返すワケ

メジャーでも「97%のプレーは地味なもの」
ゴールドグラブ賞を外野手として6度受賞し、内野でも二遊間をこなすベッツも「ド派手なプレーをしたければ、まず基礎的な動きをできなければならない」と頷く。さらに言えば、華やかなメジャーの舞台でさえ、「97%のプレーは地味なものだ」とウッドワードコーチは説く。
「“ルーティン(平凡な)プレー”という言葉はあまり使いたくない。なぜなら、全てのプレーが難しいからだ。いつもみんなに言っているんだ。『イージー(簡単)』と思ったら、注意が散漫になってしまう、と。マイナーリーガーや高校生たちはそこで集中力を落としてしまう。そんな時に打球が変な方向に曲がったり、跳ねたりすると処理できなくなってしまうんだ」
簡単そうな打球でも気を抜くのは禁物。毎日の反復練習も漫然とこなすのではなく、毎回意図を持って繰り返すことが肝要だ。ベッツは「自分の両手、両目を洗練させることに一番集中している。手と目は連動している。ボールを見て、そこに手を持っていく。それが正確であればあるほど、どんなゴロにも対応できるようになる」と練習中の意識を解説する。
「守備をする時、特に内野手は手と足が最も重要なんだ。足の動きは通常の練習で磨いている。早出のこの練習では、主に手が適切に動いてくれるようにトレーニングしているんだ。調子がよくなくても、疲れていても、手は同じように動いてくれるからね。何度も何度も繰り返して慣らすことで、実際に試合でプレーする時には考えなくてもできるようになるんだ」

一塁手として送球を捕球する機会が多いフリーマンは、手の軌道に神経をとがらせているという。「跳ねたボールに合わせて体のほうに引きながらキャッチするのではなく、逆にボールに向かってプッシュするように出す。その軌道を毎日自分の手に思い出させているよ」。身振り手振りを交えて教えてくれた。
実は8日(日本時間9日)からの敵地ダイヤモンドバックス4連戦中、ウッドワードコーチは将来メジャー入りを目指す15歳の息子を連れてきていた。父と一緒にベッツやフリーマンと同じ練習に挑戦していたが、2人と比べるとやはりぎこちなさは拭えなかった。「簡単なことを誰よりもうまくやる」。超一流選手がいとも容易くこなしていたのは、日々の努力の積み重ねがあるからだ。
普段、大谷翔平がド派手に活躍する試合の中継では決して映らない超地味な練習。取材して分かったのは、世界一野球がうまい集団なのに、ではなく、世界一野球がうまい集団だからこそのルーティンだった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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