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日本のスポーツチームの新たな社会貢献の形 ラグビーの強豪が産官協同で食育イベントを行う理由

近年、スポーツチームの社会貢献・地域貢献活動が全国各地で盛んだ。昨年、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で開催され、成長期の子どもたちに向けた食育イベントもその一つ。本イベントはラグビーリーグワン、埼玉パナソニックワイルドナイツの協力、熊谷市と埼玉県の後援のもとで開催。スポーツに取り組む子どもとその保護者を中心に、公募により約100名の県民が参加した。

イベントではJAくまがやに協力を得て地元産の米や農作物を使った「スポーツ弁当」を参加者に提供【写真:編集部】
イベントではJAくまがやに協力を得て地元産の米や農作物を使った「スポーツ弁当」を参加者に提供【写真:編集部】

埼玉パナソニックワイルドナイツと熊谷市・埼玉県が手を組んだ食育イベント

 近年、スポーツチームの社会貢献・地域貢献活動が全国各地で盛んだ。

 昨年、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で開催され、成長期の子どもたちに向けた食育イベントもその一つ。本イベントはラグビーリーグワン、埼玉パナソニックワイルドナイツの協力、熊谷市と埼玉県の後援のもとで開催。スポーツに取り組む子どもとその保護者を中心に、公募により約100名の県民が参加した。

「スポーツを通じた食育はワイルドナイツとしても、ラグビーリーグワンの他のチームも取り組んでいるが、産官協同での取り組みとしては少ない。本イベントは、ゴール設定を明確にし、熊谷市、埼玉県の後援を得て開催したことに意味がある」。このイベントの発案者であり、ワイルドナイツの栄養サポートを行う、公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏は話す。

「今回の目的は2つ。1つ目はスポーツをする子どもと保護者の方たちに、栄養バランスのよい食事について学ぶ機会を提供すること。もう一つは、健康や環境に配慮した食生活への理解の向上。

 食料自給率が4割を切る日本では、気候変動や世界情勢も相まって、生産減少や食料の安定供給に対する不安が高まっている。スポーツを通した食育により、健康の維持・増進につなげるだけでなく、地産地消の重要性や環境に配慮した食生活を伝えたい」

98年よりスポーツを通した食育活動を続ける、橋本公認スポーツ栄養士。「スポーツを通じて、地産地消の重要性や環境に配慮した食生活を伝えたい」【写真:編集部】
98年よりスポーツを通した食育活動を続ける、橋本公認スポーツ栄養士。「スポーツを通じて、地産地消の重要性や環境に配慮した食生活を伝えたい」【写真:編集部】

 イベントは主に座学、そしてワイルドナイツと7人制女子ラグビーチーム、アルカス熊谷の選手による座談会で構成。座学では選手やチーム関係者も一般参加者と机を並べて、スポーツ栄養やチームが拠点を置く熊谷市の農産物についての講義を受けた。

「選手やチーム側が参加者に歩みより、同じ目線で参加することで、子どもたちや家族の熱意を実感できる」(橋本氏)

 橋本氏が「スポーツと食」をテーマに食育活動をスタートしたのは、1998年。当時、下部組織からトップチームまで栄養サポートを担当したJリーグ横浜・F・マリノスでの経験、そしてマリノスと横浜市教育委員会が小・中学校で実施した「サッカー食育キャラバン」がきっかけだった。

「毎年、プロを目指す小・中学生を対象に食育セミナーを開催していたが、例えば中村俊輔さんなどはこちらがお願いしなくとも、会場に立ち寄り、下部組織の子どもたちに食事の大切さを伝えていた。

 憧れのトップチームの選手の一言で子どもたちの意識が変わり、食の細い子、好き嫌いの多い子も、米や野菜、魚などを積極的に食べるようになる。“あの選手のように強くなりたい”という気持ちの影響は大きい」

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