選手は「得点のために戦う」以外で何をすべきか 「スポーツと栄養」会議で受けた刺激
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「スポーツと栄養のオンライン・カンファレンス」をレポートする。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「スポーツと栄養」会議をレポート
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「スポーツと栄養のオンライン・カンファレンス」をレポートする。
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去る4月30日~5月1日、スポーツと栄養のオンライン・カンファレンス「COMPEAT CON(コンピート・カンファレンス)」に参加しました。
このカンファレンスは、健康増進やスポーツパフォーマンスの向上を目的とした栄養サポートを行う、オーストラリアの会社「Compeat Nutrition」が主催。プログラムは、地元オーストラリアほか、アメリカ、イギリスのスポーツ栄養士、運動生理学、トレーニング、メンタルなど、スポーツに携わる様々な分野の研究者・専門家によって構成。1日目はFODMAP、パラアスリートの栄養サポート、時間栄養学など、スポーツ栄養の旬なトピックスが並び、2日目はスポーツの現場での事例紹介や体験談などにフォーカス。最新の研究や現場での取り組みを発表する、貴重なカンファレンスとなりました。
私がこのカンファレンスへの参加を決めた理由は、「Compeat Nutrition」代表のスポーツ栄養士、アリーシア・エッジが掲げたコンセプトにあります。アリーシアがサミットを企画するきっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染症の影響によって、十分なトレーニングができず、試合の場も失ったアスリートや、職を失ったスポーツ業界従事者を目の当たりにしたことでした。皆が孤立感や行き場のない感情を抱える状況から回復するためには、どうすればよいのか? 果たして自分たちは何ができるのか?
そう考えた末、「スポーツ界にとって価値のあること」「皆が目的を見い出せること」、そして「人々がつながりを感じられる場」を提供したいという、強い想いに突き動かされたそうです。
カンファレンスは、苦しい生活を強いられるなかでも多くの人が参加できるよう、正規の参加費に加えて低額の参加費も設定。任意で金額を選べるようにした上、余裕のある人からの寄付金も募りました。その結果、スポーツ業界の専門家だけでなく、運動愛好家やスポーツファンまでと幅広い層から参加の申し込みがあり、寄付金も予想以上に集まったそうです。寄付金はアスリートの健康とスポーツ科学の従事者の活動を推進するために役立てるとのこと。「新たな取り組みがスタートし、これからがすごく楽しみだ」と話していました。