選手も完全菜食主義 イングランドサッカークラブが徹底する「ヴィーガン食」とは
ヴィーガン食の提供だけでなく、環境問題の啓蒙活動にも積極的
私がFGRに感銘を受けたのは、単にクラブ内やサポーターにヴィーガン食を提供するだけでなく、サッカーと食を通して、環境問題の啓蒙活動に取り組んでいる点です。
例えば、クラブでは「Fit2Last with FGR」という子供たちを対象にした体験型プログラムを実施。健康的に食べることの意味、ヴィーガン食についての講義、調理実習で基本的な食の知識を学べる上、運動やレクリエーションのメリット、サステナビリティやグリーンエネルギーについて、そしてプロサッカーチームの背景までを1日かけて学べます。
また、2019年には「ヴィーガン食を食べてみたい」という子供たちの声に応え、ケータリング会社を設立。地元の小学校から大学まで、ヴィーガン食をケータリングするというサービスもスタートしています。
ホームのニューローンスタジアムももちろん、エコ仕様。屋根にはソーラーパネルを設置し、グラウンドは化学肥料を与えないオーガニックピッチと、あらゆる角度から、環境問題に取り組む姿勢がみられます。
FGRの取り組みについて語ったデール・ビンス会長のインタビューを読んで感じたことは、スタジアムに来てもらうことで、たくさんの人にサステナブルな生活を理解してもらいたい、という思いです。ヴィーガンという生き方、環境に優しい生活、そしてサッカー選手としての新たなライフスタイル。これらを地域住民と一緒に体験し、考える場所を提供し、「地球や健康のためにできることをしよう」というメッセージを送る。素晴らしい社会活動だと感じます。
スポーツチームやアスリートたちは、差し迫った環境問題とサステナビリティという社会の課題にどう向き合えばよいのか。どのようにスポーツを調和させて社会に貢献していくか。FGRの取り組みは、これからのスポーツ界の指針になると思います。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)