37歳、経験2年の元Jリーガーを採用 IT企業が古巣・札幌のスポンサーにまでなった背景
第二の人生で感じるサッカーの時に近い感覚「脳みそがムキムキに…」
内村さんと出会うまでサッカーにあまり関心がなかった松本社長も、今ではコンサドーレが大好きに。スポンサーになって改めて分かったのが、道民に非常に愛されたチームだということ。サポーターの高い熱も感じていた。
「北海道はこれから事業としても大切にしていきたい地域。そういう意味だと、内村は『星』なんです。当然、エンジニアとして経験は絶対に積んだ方がいいけれど、彼は特に道民に愛されているので、北海道を攻める時は内村が何らかの陣頭指揮を取る方がいいし、ユニホーム着ている方が絶対にいい。会社の利益にも、彼の自信にもなる」
元Jリーガーのセカンドキャリアとしては異例のITエンジニアとして活躍しながら、サッカーにも携わりたいと考えていた内村さん。「一目惚れ」した転職先で、その夢に向かって日々研鑽を積んでいる。
「王道のキャリアも素敵だし、夢があっていいけれど、自分の挑戦がある程度形になって、今の現役選手に報告できれば『そういうやり方あるの?』とかなり明るい話題になるんじゃないかなと思います。無理だと思われるような、考えもしないキャリアだと思うので。そういうのは燃えますし、しんどい時に励みになります」
引退後について今も不安を抱える選手は少なくない。かつてその1人だった内村さんも、現役時代はそこまで考えられず、人の話を聞く機会もなかった。行動から実績を得て、後進に発信できるようになりたいと考えている。
スパイクもユニホームも脱いだ今の社会人生活も「サッカーの時に近い」と語る。「日に日に、脳みそがムキムキになっている感じ。鍛えるのが好きなので」。Zoomの画面越しに笑顔を見せてくれた。前例なきセカンドキャリアの行く末に注目したい。
■内村圭宏(うちむら・よしひろ)
1984年8月24日、大分生まれの37歳。大分高では全国高校サッカー選手権に出場するなど活躍。2003年から大分トリニータに入団した。07年からは愛媛FCで3シーズンを過ごし、10年からコンサドーレ札幌に完全移籍。札幌では236試合で59ゴールを記録するなどエースとして活躍した。19年にFC今治でプレーし、現役引退。転職活動ではハローワークを活用し、IT企業に就職。約2年間経験を積み、「コラボスタイル」に転職した。現在は開発チームに所属し、エンジニアとして勤務している。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)