37歳、経験2年の元Jリーガーを採用 IT企業が古巣・札幌のスポンサーにまでなった背景
現役時代はチームのエースとして活躍し、現在はIT企業で開発に携わっている異色の元Jリーガーがいる。J1北海道コンサドーレ札幌などでFWとして活躍し、2020年に引退を発表した内村圭宏さん。「ワークスタイルの未来を切り拓く」を理念にする名古屋のIT企業「コラボスタイル」に入社し、開発チームの一員として業務に勤しんでいる。
コンサドーレ札幌で活躍した内村圭宏さん、インタビュー後編
現役時代はチームのエースとして活躍し、現在はIT企業で開発に携わっている異色の元Jリーガーがいる。J1北海道コンサドーレ札幌などでFWとして活躍し、2020年に引退を発表した内村圭宏さん。「ワークスタイルの未来を切り拓く」を理念にする名古屋のIT企業「コラボスタイル」に入社し、開発チームの一員として業務に勤しんでいる。
元Jリーガーが、セカンドキャリアにITエンジニア職を選択するのは珍しい。指導者としてサッカー界に残る選択肢もあった中で、なぜ前例のない道を選んだのか。前後編でお届けする後編では、コラボスタイルに入社するに至った経緯、同社がコンサドーレ札幌のスポンサーとなった背景などを、代表取締役社長・松本洋介氏の話と併せて聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
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20年に引退を発表後、別のIT企業で約2年の経験を積んだ内村さん。更なるスキルアップを目指し、今年コラボスタイルに転職した。最終面談で初めて対面した松本社長は、事前に開発側の役員からこんな評価を聞いていた。
「スペック、経験的には他の候補者の方がいいけれど、何かを感じる。芯もあるし、松本さんと合うと思う」
採用にあまり関与しない松本社長だが、依頼を受けて面談に同席。寡黙で誠実なイメージを抱いた内村さんから、最後に受けた質問に熱を感じた。
「異業種からIT業界に飛び込んで、社長をやっている松本さんの記事を見ました。凄く興味があるので、お話を聞かせていただけませんか」
松本社長は大学卒業後にバーテンダーになったが、その後ITエンジニアに転職。2013年に起業し、コラボスタイルを立ち上げた。異なる業種からIT業界に飛び込んだという共通点について、内村さんは興味津々。その姿勢が松本社長の印象に残った。
「内村に良いなと感じた点は、アスリートのセカンドキャリアを切り拓きたいという気持ちが汲み取れたところ。弊社もワークスタイルを切り拓くという考えがあり、ここならそれができるんじゃないかと内村なりに考えていたんだと思います。
確かに経験は浅く、年齢的な懸念もある。企業として、同じ船に乗せるメンバーは厳選したい。どうかな……とは思っていましたが、面談で僕も一緒に仕事したいなと感じさせられました」