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「なぜ日本より弱いリーグに」― UAE挑戦、塩谷司が貫いた「成長は自分次第」の信念

人生を変えた“2分の1の決断”について語った塩谷司【写真:荒川祐史】
人生を変えた“2分の1の決断”について語った塩谷司【写真:荒川祐史】

「なんで日本よりレベルの落ちるリーグに行くんだ」と言われ、UAE挑戦した理由

 塩谷といえば、14年に開幕6戦で4ゴールするなど、年間6ゴール。ベストイレブンに選ばれたように“点が獲れるDF”として広島でブレイクした。「今の自分のスタイルが凄く気に入っているので。サッカーをやっていて楽しいし。でも、あの時にもう一つの選択をしていれば、今の自分はいなかった」と言う。

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 レベルが高い環境だからこそ、オンリーワンの個性が求められ、レベルが高い環境だからこそ、失敗を恐れずにプレーできた。それによって、今までにない選手像を築けた。だからだろう。広島というクラブを選んで良かったことは――。この質問は逡巡することなく答えた。「サッカーの楽しさを思い出せたこと。あの5年間が一番、サッカーが楽しかったから」と笑った。

 選択が間違いではなかったことは、その後のキャリアが証明している。移籍1年目から激しいポジション争いを繰り広げ、翌年からレギュラーを獲得。リーグ2連覇に貢献した。14年に日本代表デビューし、16年はオーバーエイジとしてリオデジャネイロ五輪出場。日本屈指のDFにまで成長を遂げ、17年から活躍の舞台をUAEの雄、アル・アインに移した。

 決断の連続であるアスリート人生。振り返ると、選択の軸ははっきりしていた。「どうせ行くなら、厳しい方を選んできた。その方が面白いんじゃないかと思って」。その基準は塩谷のようなトップ選手に限らず、中高生にも置き換えられる。うまくなるためにはレベルの高い選手が集まる強豪校か、出場機会が得られやすい一般校を選ぶべきか。

 塩谷は「最終的に、すべては結果論」と前置きした上で、アドバイスを送る。「試合に出られる場所に行って伸びる選手もいるし、そんなレベルで活躍できないよと言われた場所でなんとか頑張って結果を残す人もいる。最後は自分次第。大事なのは、自分がどうしたいか、ということ」。そう言った後で自身の経験から、熱い本音を明かしてくれた。

「僕がUAEに行く時も『なんで日本よりレベルの落ちるリーグに行くんだ』と。去年、カタールに行った中島翔哉の時も言われたけど。それって環境が良くないと成長できないと思うから。でも、僕はそうじゃないと思っている。どういう環境にいても自分次第だから。自分がやるか、やらないか。成長したいと思うなら、自分が一番成長できると思う環境を信じて、行けばいい」

 すべては自分次第――。そうは簡単に言っても、チャンスを掴むには強い意志と向上心が必須であることは言うまでもない。では、なぜ塩谷司という選手はどんな環境でも成長することができたのか。そう問うと、真っすぐに言った。「上だけを見ていたから、じゃないですかね」と――。

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