1つの競技に専念する日本の文化どう思う? オフはアメフト、バスケ、アイホ…競技を掛け持ちしたMLB選手の「マルチスポーツのメリット」

燃え尽き症候群のリスク軽減にも
1つのスポーツに専念する日本の風潮について、クアントリルは「日本の野球選手があれだけ優れているのには理由がある。彼らはかなり多くの時間を野球に捧げてきたからね」と理解を示した。1競技に特化したほうが、当然割ける時間は多くなる。米国でも日本と同じ「ワンスポーツ・モデル」にトレンドが傾きつつあるというが、クアントリルは“マルチスポーツ推進派”の立場を変えない。
メリットとして真っ先に挙げたのは、「全てが興味深いままであること」。ずっと同じ競技をしていると飽きてしまう可能性があるとする。「次のスポーツの季節が来るたびに、僕は新鮮な気持ちで、そのスポーツにワクワクできた」。心機一転できることの利点は、単に「楽しさを持ち続けること」にとどまらない。
アウトマンは言う。「野球だけをやっていて燃え尽きてしまい、もう野球が好きじゃなくなってしまった人をたくさん知っている。一年中、毎日ずっと野球ばかりやっているわけだからね。他に気分転換できるものがあって僕は良かった」。日本でも時に問題となる「燃え尽き症候群」のリスク軽減になるというのだ。

日本のスポーツ庁も2024年から「日本型マルチスポーツ」環境の構築を図るべく、「地域における子供たちの多様なスポーツ機会創出支援事業」をスタートさせた。同庁は「他競技を経験することは身体機能の向上やケガの防止だけでなく、複数のコミュニティへ所属を通じて、子供たち自身の社会性や協調性等を育む機会の増加にもつながるなど教育的意義も大きい」と見ている。
スポーツ庁の見解とリンクする経験談を明かしてくれたのがタワだ。「情熱を持てる1つのスポーツに集中することは何も間違っていない」としつつ、「僕は数多くのスポーツをやって本当に幸せだった」と振り返る。その理由は「たくさんの人と出会えて、たくさんの素晴らしい思い出ができたから」。スポーツは人生を豊かにする。そんな本質を思い出す言葉だった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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