アスリートの「セカンドキャリア問題」を考える 廣瀬俊朗の回想「もっと考えていれば」
「クビを切られることをリアルに認識できていない。考えられる土壌がまだない」
廣瀬さんは今、ビジネス・ブレークスルー大学が企画運営を担うアスリート向け人材育成プログラム「A-MAP(エーマップ、Athlete-Mindset Apollo Program)」を展開する一般社団法人「APOLLO PROJECT(アポロプロジェクト)」の専務理事を務め、セカンドキャリアを視野に学びを求めるアスリートの支援活動にも力を注いでいる。まず根底にあるのはラグビー界への思いだ。
「ラグビーにはまだまだ社員選手が多い。それが良いところでもあり、悪いところでもある。社員であれば(会社に)守られていると思っているが、現役を終えてしまうと、もしかするとクビを切られるかもしれない。そのあたりをリアルに認識できていない選手もいる。ラグビーができなくなって、さらにお金がもらえなくなることもあるんだということ。そういったことを考えられる土壌がまだまだない」
「A-MAP」では現役、元アスリートが「次」を考えられる力を身につけることができる。各界のトップランナーの講師、メンター、さまざまな競技出身の受講生とともに学ぶ実践的カリキュラム。1年を通して、徹底的に自分と向き合うことをマインドセットとしている。
廣瀬さん自身、実際にプロジェクトに携わり、ラグビー以外の競技のアスリートとの接点も多くなった。
「個人競技の選手とかを見ていると、自分で企業に営業をかけて、支援してくれるスポンサーを探してきたりもする。すごくストイックだなと思う。そういう経験はセカンドキャリアを考える上でも大きいと思います。
ラグビー選手は、ずっとラグビーに携わることが当然というようなバイアスがかかっている。もしかすると引退した後にやりたいことはラグビー以外かもしれない。そうしたマインドセットを養っていくことができればいいと思っています」