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ボルトも吐きながら走っていた “世界2位の日本人”が体感した「天才」コーチの練習

ミルズコーチの指導法にボルトも全幅の信頼「彼の言うことを聞け」

 そして2008年北京五輪では9秒69、翌年の世界選手権で9秒58まで世界記録を短縮した。ジャマイカでは、北京、ロンドン両五輪で100メートルを連覇し、今年の世界選手権で女王に返り咲いたシェリー=アン・フレーザー=プライスも152センチ。次々に規格外のチャンピオンを生み出して来た歴史があり、それらの快挙を代表チームのヘッドコーチとして主導して来たミルズは、十代の早い時期に選手への道を諦め、早々に指導歴をスタートしている。

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 ある時、和田は直接ボルトに速く走る秘訣を聞いてみた。

「オレは自分の走りに集中しているから分からない。でもコーチ(ミルズ)は天才だ。彼の言うことを聞け」

 和田は日本で「速く走るのは才能だ」と言われ続けた。しかし世界一のスプリンターを育てたのは、速く走った経験のないコーチだった。そこに技術論があるのは明白だった。

(第3回へ続く)

[プロフィール]
和田賢一(わだ・けんいち)

1987年12月8日生まれ。日本のビーチフラッグス第一人者でビーチフラッグス全日本選手権3連覇、世界最高峰の全豪準優勝。走力を磨くために単身ジャマイカに乗り込み、3カ月間ウサイン・ボルトとともにトレーニングを積み、100メートルのベストを一気に1秒更新。誰でも速く走れる「走り革命理論」を確立し、トップアスリートをはじめ日本中へと広め、走ることの成功体験を通じ、子供が夢に向かって一歩を踏み出す勇気を届ける講演を行っている。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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