クライマーとシューズの秘密… 初心者の選び方、おすすめをトップ選手に聞いてみた
東京五輪新種目として開催されるスポーツクライミングは、スピード、ボルダリング、リードの3種目を合わせた複合で争われる。体一つで巨大な壁を登るこの競技おいて、最大の“商売道具”がシューズだ。11日に開幕した世界選手権(東京・エスフォルタアリーナ八王子)に向け、クライマーとシューズの知られざる関係性を国内トップ選手に聞いた。
クライミング選手の“商売道具”、大切なのは「フィーリング」
東京五輪新種目として開催されるスポーツクライミングは、スピード、ボルダリング、リードの3種目を合わせた複合で争われる。体一つで巨大な壁を登るこの競技おいて、最大の“商売道具”がシューズだ。11日に開幕した世界選手権(東京・エスフォルタアリーナ八王子)に向け、クライマーとシューズの知られざる関係性を国内トップ選手に聞いた。
ホールドと呼ばれる突起物に手や足を掛けて壁を登るクライミング。わずかな接地面で効率よく登っていくには滑らないことが大切だ。手にはチョークという滑り止めの粉を付けることができるが、足はシューズを履く。最も重要とされる用具について、トップ選手が選ぶ際に大切にしているポイントはどこだろう。
2016年からボルダリング・ジャパンカップで3連覇した藤井快(こころ・TEAM au)は、adidas社のアディダス ファイブテン シリーズを使用している。
「最初に履いた時のフィーリングですね。フィット感など、登ってみて使いやすいことが大切です。履いてみて感触がよかったらいいなという感じ。あとは憧れの選手など、履いている人がかっこいいなということもありました」
今の段階では、オーダーメイドではなく、既製品を使用。試合で使う一足を選ぶために「何足履いたかも覚えていないくらい履きました。とりあえず片っ端から」と、ざっと思い浮かべても50足以上は試したという。
スピードはホールドの位置が統一され、高さ15メートルの壁を登ってタイムの速さを争う。ボルダリングは複数のコースを完登できた数で競う。リードはロープを使用し、12メートル以上の壁を競技時間内により高く登った選手の勝利。藤井の場合、スピードでは履きやすい柔らかめのシューズを使うそうだ。
6月のボルダリングW杯(米国・ベイル)で初優勝した緒方良行(神奈川大4年)はどうだろう。急成長中の21歳が履くのは、アディダス ファイブテン シリーズのハイアングルというモデル。シューズ選びのポイントは「足型に合っているかどうか」だという。
クライミングを始めたのが10歳。小学生時代にファイブテンシリーズに出会い、5年ほどは様々な種類のシューズをかわるがわる試しながら履いてきた。「今はこの1足です。僕もこれにたどり着くまでにはいろんなシューズを履きました。たどり着いた先がこれ。結局、アディダス ファイブテンに行きつきましたね」。藤井と同じくオーダーメイドではないが、メーカー担当者に意見を出して細かい調整を反映してもらっている。リクエストしたのは「剛性」だ。
「剛性は硬さのことです。少し柔らかすぎて、かかと部分の剛性が自分には少し弱いかなと思って、剛性を強くしてもらいました。クライミングは足(の裏)を乗せるだけでなく、かかとも使うんですよ。そういう動きにも対応できるように、もう少しかかと部分の剛性を強くして、よりオールラウンドなシューズに調整してほしいと伝えました」