サニブラウンは“世界基準”で生きていた 米国人コーチが告白した2年間の成長曲線
陸上の男子100メートル日本記録保持者サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が、短距離2種目における40年ぶりの2度目2冠を達成し、幕を閉じた日本選手権。2年ぶりの母国凱旋レースで圧巻の強さを見せつけた。
20歳が米国挑戦で変われた理由、フロリダ大ライト氏が見たサニブラウンの姿
陸上の男子100メートル日本記録保持者サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が、短距離2種目における40年ぶりの2度目2冠を達成し、幕を閉じた日本選手権。2年ぶりの母国凱旋レースで圧巻の強さを見せつけた。今大会は、2017年秋に進学した米フロリダ大のサブコーチである25歳のアントワン・ライト氏が帯同。18歳で海を渡り、異国の地で世界の猛者たちと過ごす中で得た“世界基準”の強さがある。同コーチは「THE ANSWER」の単独取材に応じ、2年間の成長過程、大学の指導方針などを明かした。
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17年日本選手権。サニブラウンは粗削りながら、豪快な走りで先輩たちを抜き去り2冠を得た。高校を卒業したばかりだった18歳は、日本一に初々しさを覗かせていた。将来の夢は世界の頂点。今大会の200メートル決勝後、報道陣で溢れ返ったミックスゾーンに現れたライト氏へ呼びかけると、足を止めた。入学時に可能性を秘める逸材を見たライト氏は「非常に才能豊かで、ポテンシャルも高い。彼は素晴らしい。素晴らしいよ」と当時の印象を振り返った。
今年6月の全米大学選手権では、桐生祥秀(日本生命)の日本記録を0秒01更新する9秒97をマークした。日本国内では快挙に沸いた。しかし、本人はいたって冷静で「ボコボコにやられた」と3位の結果を悔やんだ。9秒台は当たり前の世界。今大会の2冠についても「やることをやっただけなので、特別な思いはないかもしれないですね」と淡々と話す。日本新へ急成長を遂げたように思えるが、米国基準では違うようだ。ハイレベルな環境についてライト氏は語る。
「彼が速くなれば、チームメートも速くなる。チームメートが速くなれば、彼も速くなる。だから、成長のスピードは他の選手と同じかな。大学での指導方針は、彼を他のみんなと同様に扱うこと。ちゃんと授業に行き、良い成績を収め、時間を守って練習やトリートメントに来ることだ。
そして、チームは勝利を欲する人間で溢れている。前進するため、互いに助け合い、個人ではなくチームが大事であると理解している。目標はフロリダ大がタイトルを取り戻すこと。我々がベストになるため、互いを高め合っている。最高のチームになるために、互いに助け合っているんだ」