「欺こうとするのは1試合で3、4人」 Jリーグ史に残る名レフェリーの“誤審回避術”
「いつもレフェリーを欺こうとしているのは、せいぜい1試合で3、4人。それを早く見つけ出して気をつければいい」――レスリー・モットラム(元サッカー審判員)
「日本にはミスを指摘し合う文化がない」…サッカーと判定を巡る果てしなき議論
「いつもレフェリーを欺こうとしているのは、せいぜい1試合で3、4人。それを早く見つけ出して気をつければいい」――レスリー・モットラム(元サッカー審判員)
ワールドカップ(W杯)や欧州選手権など数々のビッグゲームで笛を吹いてきたレスリー・モットラム氏は1996年に来日し、98年から4年連続でJリーグ最優秀主審賞に選ばれるなど、日本人レフェリーの指導にも尽力した。
欧州ではリーグ戦開催当日の夜に、レフェリーの判定の是非を徹底して討論する番組がある。だが「まだ日本では私がその代わりを務める。それで十分」と話していた。
ロンドン生まれで、幼少時にスコットランド郊外の小さな村に引っ越した。それはレフェリーという仕事を考えれば好都合だったという。
「例えばセルティックとレンジャーズの『グラスゴーダービー』の笛を吹く場合、もし現地に住んでいたら窓ガラスを割られたり、車を傷つけられたりする可能性がある。この試合の騒音は、他では経験できないレベルのものだ。私の笛は、副審には聞こえない。プレーが止まったのを見て、彼らは笛が鳴ったことを知る。友人のレフェリーは、ダービーの1週間前には家族を他の場所に避難させていた。その点、私は試合を終えたら自宅に帰れば、静かな生活を取り戻すことができた」
こうした烈しい欧州事情に比べれば、日本のピッチは重圧が小さい。大きな重圧に慣れた欧州のレフェリーなら、いくら批判の嵐を浴びても「オーケー、次は修正するよ」と前向きになれるが、「日本には互いにミスを指摘し合う文化がない。だから私が個人的に話してきた」と述懐した。