井上尚弥がスコットランドで起こした衝撃 その時、現地ファンはビールをこぼした
がっかり!? いや、凄いものを観られたな~、というのが率直な感想だ。 WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)である。18日(日本時間19日)、英国グラスゴーで行われた、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)準決勝でIBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回1分19秒TKOで下し、決勝進出を決めた。
実際に取材した記者が「衝撃の259秒」の様子をレポート
片道16時間、往復32時間かけて来て、本番はたったの259秒――。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
がっかり!? いや、凄いものを観られたな~、というのが率直な感想だ。
WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)である。18日(日本時間19日)、英国グラスゴーで行われた、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)準決勝でIBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回1分19秒TKOで下し、決勝進出を決めた。
日本から9000キロ以上離れた、スコットランド・グラスゴーのSSEハイドロで日本が誇る“モンスター”井上尚弥がまた伝説を作り上げた。一部始終を目撃した記者が現地の様子をレポートする。
◇ ◇ ◇
決戦の日は小雨が降ったりやんだりのなんともすっきりしない曇天。晴れる日が続いていたそうだが、これでこそイメージしていたスコットランド。どことなく重苦しい雰囲気が、決戦に相応しいなと一人テンションが上がっていた。
戦いの舞台は「SSEハイドロ」。2013年に開場した近代的な多目的アリーナだ。1万3000人収容らしい会場の入りははっきり言って微妙だった。開場した午後6時の時点では半分以上が空席。メーンイベントまでは3時間以上あるとはいえ、寂しい入りだ。そもそもグラスゴーに到着してからボクシングの“匂い”のようなものを全く感じなかった。
メディアや、街中でもPRしている様子がない。グラスゴーの空港から乗ったタクシーの中で日本人だと伝えても、「何しに来たんだ? ボクシング? いつだ?」と聞き返される始末。セミファイナルの井上の試合の客入りは大丈夫だろうか……? 華々しい欧州デビューを勝手に期待していた当方には一抹の不安がよぎる。
杞憂だった。試合が進むにつれ、ファンはじわじわと増えてきた。客席で観戦していた記者の周りも初めはガラガラだったが、井上の前の試合ではほぼいっぱいになった。会場を見回しても9割方埋まっていた。3階席の1部はクローズにしていたようだが、それでも1万人は超えているのではないか。
もちろん多くの目当てはメーンに登場するご当地選手のジョシュ・テイラーだろうが、会場まで足を運ぶ熱心なボクシングファンにとっては井上も興味の対象だ。隣に座った現地のおじさんファンは、私が日本人だとわかると、ビール片手にしきりに話しかけてきた。
「イノウエは強いよな。オレはイノウエがKOで勝つと思ってるんだ」。英語はさっぱりだが、おそらくこういうことを言っていたんだと推測する――。身振り手振りで熱弁されるとこちらも嬉しくなる。いよいよ入場シーンだ。