「1月1日が一番嫌い」胸に突き刺さった子どもの言葉 復興半ばの被災地でアスリートは何を伝えられるか

子どもたちに伝えたい「挑戦することの大切さ」
2025年1月には、能登町を訪問し柔道教室と炊飯交流イベントを開催した。
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柔道教室では、五輪メダリストの中村美里さんが子どもたちに指導を行った。未経験の子も経験者も、柔道を通じて「相手を尊重すること」「仲間と支え合うこと」を体感できる貴重な時間になったと思う。中村さんは、「柔道は技だけではなく、相手との信頼関係や礼儀を大切にするスポーツです。この時間が子どもたちにとって、少しでも学びや自信につながれば嬉しいです」と語った。
その後、子どもたちと地域の方と同じ釜のご飯を食べた。一緒にご飯を食べることも、スポーツと同様、心を通わせる手段の一つだと感じている。一緒に食事をする間、子どもたちは「あばれ祭り」のことを目を輝かせながら熱心に話してくれた。「もっと多くの人に知ってほしい!」という言葉の裏には、地域の伝統を未来へつなげたいという願いが込められているように感じ、ふるさとを誇りに思い、守り続けたいという強い意志が伝わってきた。
イベントの運営に携わった地元・輪島市の担当者からは、「震災後、こんなに子どもたちが笑う姿を見るのは久しぶりだった」という声も聞かれた。
私自身、能登での活動を通じて、復興支援にはさまざまな形があることを学んだ。そして、私たちアスリートが現地に足を運び、子どもたちとともに体を動かし、寄り添うこともその一つだと実感した。

柔道教室に参加した初心者の子どもたちは、初めて触れるスポーツにワクワクしながらも、真剣な眼差しで柔道と向き合っていた。「挑戦することの大切さ」。これもスポーツから得られることの一つだ。
私たちアスリートも、どんなに苦しい状況のなかでも挑戦を続けることで、諦めかけた心に灯がともる瞬間を何度も経験してきた。立ち止まりそうになる時こそ、仲間の助けを借りながら、自分を信じて一歩を踏み出す――その積み重ねが、人生を歩むうえで苦境を打開する力になっている。
復興には長い時間がかかるが、その過程の中で、スポーツが人々の希望や活力となり、前を向くきっかけになるのではないか? 子どもたちの姿を見ながらあらためて感じた。
これからも被災地の子どもたちに寄り添い、スポーツを通じた支援を続けていきたい。
(竹村 幸 / Miyuki Takemura)
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