【高校野球】横浜高を倒した県立高校生のいま 日産自動車・石毛大地が再び狙う下剋上、最後の夏に学んだ鉄則「キレイに勝つより…」

唯一残った現役選手…日産主将としての夏は「あの時と同じ」
直後の8回に1点を勝ち越されたものの、相模原はその裏3点を奪い突き放した。中野が1死一、二塁から逆転三塁打。ここではベンチを外れた3年生が中心となった分析班も、いい仕事をしていた。「及川のスライダーは、低めに来たら見逃そうという話になっていました。外れることが多いからと。だから中野の逆転打も、高めのスライダーだったはずです」。涙のミーティングで心を一つにした3年生は、勢いと知恵を駆使して歓喜を味わった。
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学校として史上初の4強進出。準決勝は2日後、再び横浜スタジアムで行われたが、相模原は東海大相模に2-11で敗れ、甲子園への道は断たれた。石毛はその後筑波大学に進み、首都大学リーグで首位打者も獲得する好選手になった。卒業後は茨城日産に就職し、硬式野球を続けた。そして今季からは、日産自動車本体のチームに転籍し、主将としてチームを引っ張る。
当時の相模原の選手で、大学まで野球を続けた選手は4人だけ。そして今も社会人野球で白球を追い続けるのは、石毛だけだ。日産自動車は今年、2009年の休部以来16年ぶりの復活を果たしたチーム。都市対抗で2回優勝という実績を誇るが、県内には同じく12回優勝のENEOS、7回優勝の東芝と強豪が居並ぶ。7月2日に初戦を迎える都市対抗野球の予選でも、挑戦者の立場からスタート。劣勢と見られる中で始まるのは、あの夏と同じだ。
「そうですね……。確かに同じだと思います。キレイに勝つより、粘って粘って相手が嫌がる野球をしていれば、終盤ワンチャン勝機がある。それはあの夏に学んだことでもあります」
皆に親しみを込めて「ケンソー」と呼ばれる相模原。その魂を胸に秘めた男が、再び立ち上がる日産野球部を引っ張る。勝ったチームこそが強い。再びの下剋上を、虎視眈々と狙っている。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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