“やんちゃ坊主”と狙う前人未到の地 佐々木尽支えるトレーナー、王者に完敗も見据える世界までの道

中屋チーフ「間違いなく世界を獲れるようにその高さまで……」
アマチュア時代の戦績は1勝3敗。輝かしい成績を収められたわけではないが、柔道で培ってきた体格と精神を信じてボクシングの基礎を叩き込んだ。4年制の定時制高校に進学した佐々木に「4年間で『ボクシングは職業だ』と言えるようにする」と約束した。可能な限りファイトマネーを渡したり、スポンサーをつけてきた。佐々木は高校の2年間のみアルバイトをしたという。
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2018年8月、17歳でプロデビュー。23年1月にWBOアジアパシフィック(AP)同級王座を奪取した。さらなる高みに向けて同年5月には米ラスベガス合宿を行った。中屋チーフは同行しなかったが「帰国した時に『チーフ、コンビネーションを教えてください』って。向こうのトレーナーに習ったらしいんですよ」と振り返る。「基本の練習ばかりで教えていなかった。それでもアジア王者になって世界ランカーにもなった。それって尽、すごくないかと。一発一発のフォームが大事なんだ」と伝えた。
対戦したノーマンは7歳の頃から父親と二人三脚で歩んできた。「私も尽は12歳から育ててきました。ずっと一緒にやってきたので引けは取らないです」と親子に勝るとも劣らない確かな絆があった。
今後、佐々木は休養を挟んだのちに海外で経験を積み、基礎的な体力向上を図る方針。中屋チーフは「メンタルの面は言うことないし、こんな選手にもう会うことない。今度は間違いなく世界を獲れるように、その高さまでしっかり作り上げていきたい」と意気込む。
日本人ボクサーが未踏の世界ウェルター級王座。佐々木と八王子中屋ジムは尽きることのない闘志でその座を狙い続ける。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
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