2軍でタイトル獲っても…ドラフト呼ばれず「もうダメかと」 今季も新記録ペース、オイシックスの守護神が前を向けたワケ

28歳でプロになった投手が目の前に…選手はいつまでも成長できる
オイシックスの武田勝監督は大卒後、社会人野球のシダックスで5年間指名を待ち続けた。直球と変化球を、全く同じ変則的なフォームから投げ分けられるという自分にしかない武器を磨き続けることで、28歳になるシーズンからプロ生活をスタート。11年で82勝を挙げた。指名されるその日のために、準備を続けるしかないというのが上村の出した結論だった。
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「できることをやるしかないと思っています。今から150キロを投げるとかは無理ですけど、今年はフォークの感覚が良くなってるんです。左バッターにも投げられるようになりましたし」
昨年は長いシーズンを戦い抜く難しさを痛感した。イースタン・リーグは1軍とほぼ同じ140試合規模の日程が組まれる。独立リーグ時代と比べると、同じ期間で試合数はほぼ倍だ。練習量がどうしても減っていく中、特に終盤はどうコンディションを維持するかが大きな壁だった。そして迎えた2年目は、また違った課題を突きつけられた。
「春先はよくなかったですね……。ストライクを取れないのに、何がダメなのかも分かってなくて」
現在でこそ16セーブでイースタン・リーグの2位(9日現在)。リーグ記録の23も十分に狙えるペースだが、復調へのヒントをくれたのも野間口コーチだった。5月に入った頃、いきなり呼ばれ「何が原因でダメなのか分かってるか?」と聞かれたのだという。考えてハッとした。
「相手と戦う前に、自分と戦っていたんですね。自分がいいボールばっかり投げようとしていたんです」
武田監督も野間口コーチも、シダックスで故・野村克也氏の指導を受けた。圧倒的な力がない選手がのし上がるには「相手を知り、自分を知ること」が不可欠だと、今の選手にも伝えようとしている。上村が積み上げるセーブは、その哲学を消化した何よりの証。もう一度ドラフト指名へ挑むため、頭と腕をフル回転させる。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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