楢崎正剛、24年間の告白 「声が届かなくても声を出す」から変わったGK人生の真実
奇しくも2018シーズンをもって、長きに渡り日本サッカーを支えてきた2人のGKが現役を退くこととなった。19年1月、川口能活に続いて、現役引退を表明した楢崎正剛。24年間、日本のトップGKとして成長し、戦い続けた礎になったものとは。
日本の名守護神が語り尽くしたGK人生と、川口能活と、代表引退の真実
奇しくも2018シーズンをもって、長きに渡り日本サッカーを支えてきた2人のGKが現役を退くこととなった。19年1月、川口能活に続いて、現役引退を表明した楢崎正剛。24年間、日本のトップGKとして成長し、戦い続けた礎になったものとは。
「リーガの試合は結構観ます。GKのオブラク(スロベニア代表)はリーガで最も好きな選手です。動きにムダがなく、安定していて確実に止める。プラス大事な場面でビッグプレーも出る。シュートストップに関しては特に凄い」
Jリーグデビューから24年。常に日本を代表するGKとして走り続けてきた楢崎。この日、WOWOWの「リーガ・ダイジェスト」にゲスト出演後、取材に臨んだ。
現役ナンバーワンの選手は? との問いには「最も安定し、存在感のある」と大ベテランのブッフォン(パリ・サンジェルマン)を挙げる。では、彼自身が目指し、理想としてきたGK像とは?
「まず、捕れるボールは確実に捕ることは基本。その上で、ゴールを決めることと同等のセービングができる。そして、どの試合でも能力を発揮できる選手です。GKはちょっとしたプレーの一つが、勝負を左右します。ミスが許されないので、高い集中力が必要。また、チームが戦術やゲームプランを崩さず、試合を進められるか否かを左右する非常に重要なポジションです。特に現代サッカーは展開が速く、僕がデビューした頃と比べるとGKの役割も大分、進化している。昔は試合中に、スタンドを眺める余裕とかあったんですけどね(笑)」
小学4年からサッカーを始め、中学からGKとなった楢崎。当時、日本サッカー界はプロリーグ設立前。育成年代でGKコーチを置くようなチームは稀だった。中学・高校と部活動の中でサッカーを続けてきた楢崎自身も、自分で考え、工夫した練習メニューに、日々、取り組んでいた。
「県や東海地区の選抜チームに呼ばれるので、そこでコーチに教わったことを、部活に持ち帰り、チームにフィードバック。自分で内容をアレンジしたり、チームメートを使ったり(笑)して、練習に取り入れていましたね。僕が子どもの頃は、海外サッカーの試合の放送さえほとんどなかったので、プロがどんな練習をしているのかの情報もなかった。一度、ワールドカップの特集番組で、強豪国のGKの練習風景を紹介しているシーンが放送されたんですね。その映像を何回も見て、真似していました」
楢崎は奈良育英高(奈良)を卒業後、横浜フリューゲルス(後に、当時の横浜マリノスに吸収合併)に入団。プロ2年目の年、GKコーチのマザロッピと出会う。これまで数々の監督、コーチの下でプレーをしてきたが、やはりマザロッピから学んだことが大きい、と振り返る。