井上尚弥がネリにぶつけた20秒の殺気 距離わずか2cmの見えない殴り合い「駆け引きは始まってる」
ネリは守る王者の重圧を指摘、井上は反論「ネリは失うものがないから強いのか。そうではない」
ボクシングは試合で新品のグラブを使うが、井上が使う日本のウィニング製が箱から取り出されると、ネリと陣営は「小さいな」と使い慣れた米国のグラント製からの変更を要求。日本ボクシングコミッション(JBC)が新品のウィニング製を用意した。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
ネリは2018年3月の山中慎介戦でも直前にグラブ変更を求め、日本製を使用。大きさの違いによる威力の伝わりやすさを気にしたと思われる。
これも駆け引きの一つの可能性もあるが、井上はネリの体つきにも「感想はない」と興味なし。意識は悪童をどう倒すか、それだけだ。これまでネリは「失うものがない」と自身の立ち場の優位性を強調し、4つのベルトを背負う王者の方がプレッシャーが大きいことを指摘していた。だが、モンスターは意に介さない。
「それに関しても何も思わない。背負うものがある、ないで人間の差はない。ネリは失うものがないから強いのか。そうではないと思う。自分はベルト4本を懸けているけど、懸けていなくてもそれ(強さ)はどうなのか。試合は左右されない」
やはりモンスターが見ている場所は違う。取材中、わずか1メートル前にあった横顔は鋭い。「やるしかないでしょ!」。さあ、東京ドーム決戦。勝者として歴史に名を刻むのは、井上尚弥だ。
○…Amazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上―ネリ戦のほか、元K-1王者・武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(豪州)に世界初挑戦。井上の弟のWBA世界同級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内史上最多となる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)