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なぜ、ボクシングの東京D興行が難しいのか「井上尚弥しかできない」 令和に乗り越えた4つの壁

4つのベルトを手に、フォトセッションに応じた井上【写真:荒川祐史】
4つのベルトを手に、フォトセッションに応じた井上【写真:荒川祐史】

外国人観光客の急増も影響、ネット配信も追い風に

 大型興行なら相手陣営の数も増える。減量中の選手には、ある程度のレベルが確保されたレストランも必要。井上のように4団体統一戦なら、各団体のスーパーバイザーなどの立会人も増え、彼らのホテルも用意する。外国人観光客の急増によって「本当にホテルがない」と本田会長も手を焼いた。

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「東京ドームは井上尚弥選手にしかできません。これで今やらなければ、東京ドームで一生ボクシングができない」

 試合中継が資金力のあるネット配信主流となったことも大きい。民放から移り変わる時代に勝ち続け、ボクシングの面白さを届けた井上の功績でもある。放映権料による収益も大型興行開催を後押し。34年前は世界的スーパースターのタイソン、しかもヘビー級だから多く見られたのもある。

 今回はAmazon プライム・ビデオが国内で配信し、海外ではストリーミング配信の米スポーツ専門局「ESPN+」、英衛星放送「スカイスポーツ」などほぼ全世界で中継。セミファイナルに登場するWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニーの母国・オーストラリアだけペイ・パー・ビュー(PPV)となった。

 世界で配信できるのも、階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で上位常連の実力を誇り、目の肥えた海外ファンに「見たい」と思わせるモンスターだからだ。

 本田会長によると、海外ボクサーには日本ほどスポンサーがつかないとのこと。負ければ商品価値が一気に下落する格闘技。イメージもいいとは言えないことが理由だという。「そういう意味で尚弥選手は異常。クリーンでイメージがいいですから」。一昔前は“野蛮”な印象を根強くもたれていたが、井上がボクシングを今まで以上にスポーツとして認知させたことが大きい。

 本田会長は「東京ドームでやるなら“お祭り”のようにしないといけません。今回は大橋ジムの選手が4人。なかなか4人の王者がいても同日にはできません。そこが難しいんです」と興行に“特別感”をもたらす難しさを挙げた。

 集客力、会場確保、配信需要、スポンサーの増加。井上だから乗り越えられた壁は多い。ただ、たった一つの懸念は過去に違反歴のあるネリの体重超過とドーピング陽性。仮に欠場しても元IBF王者TJ・ドヘニー(アイルランド)がリザーバーとして用意されているが、毎日の体重測定とドーピング検査も5回以上してきた。

「もうリミット内」と減量に自信を見せたネリ。5日は前日計量。試合成立の吉報が待たれる。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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