Jリーグ暴言問題に見る日本人の“鈍感さ” 「意図はなかった」は世界で通用しない
Jリーグの調査のぬるさ、危機管理の甘さ…「疑わしきは罰せず」裁定
だが肝心なのは、発言者の意図などではなく、受け取る側の心情だ。差別的侮辱と受け取る可能性のある人物の間近での言動を、「あなたに向けたものではない」などという理屈は、とりわけ国際社会では通用しない。
そもそも精神的苦痛を味わった被害者の前で「そんなつもりはなかった」「興奮してつい」などという弁解が、容認されるものなのかを、機構やクラブは徹底して教育していく必要がある。森脇に対して2試合の出場停止処分が発表された後、鹿島の小笠原が指摘したように、Jリーグの調査のぬるさ、危機管理の甘さは、まったく国際基準から乖離していると言わざるを得ない。
今、フットボールの世界では、日常的に「人種差別反対」宣言が繰り返されている。FIFAが最優先で撲滅を図る重要課題である。Jリーグも同様に真摯に取り組もうとするなら、これほどあっさりとした「疑わしきは罰せず」裁定は、導けないはずである。
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加部究●文 text by Kiwamu Kabe