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Jリーグ暴言問題に見る日本人の“鈍感さ” 「意図はなかった」は世界で通用しない

4日に行われたJ1リーグでは、浦和の森脇良太の暴言が物議を醸した。鹿島の選手に向かって「口が臭い」と発言。これを小笠原満男は同僚のブラジル人MFレオ・シルバに向けた言葉としたが、森脇自身は口論となった小笠原に向けたものであり、そこに「差別の意図はなかった」と主張した。だが肝心なのは、発言者の意図などではなく、受け取る側の心情だ。差別的侮辱と受け取る可能性のある人物の間近での言動を、「あなたに向けたものではない」などという理屈は、とりわけ国際社会では通用しない。

浦和DF森脇の「口が臭い」発言…国際基準から乖離したJリーグの“ぬるさ”

「いったい、オレはなに人なんだ」――李忠成

 朝鮮第九小学校へ通った李忠成は、よく登下校の際に、日本の小学生たちから揶揄され、喧嘩を吹っかけられたという。しかし、差別を感じ取りながらも、あえて「李」の名前で、日本の中学に通う。12歳で、出自を隠さずに、堂々と日本社会の中で生きていく決断をするのだ。

 そんな李が18歳の時、U-19韓国代表候補の合宿に参加し、大きなショックを受ける。韓国へ行けば、歓迎してくれるものと信じていた。ところが食事を取っていると、背中で韓国の選手たちがなにやら囁いている。父に意味を聞くと、在日韓国人に対する蔑称だった。

「いったいオレは、なんなんだよ。日本人でも韓国人でもなく、在日人なのか」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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