[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

日本新ならずまた涙 新谷仁美、「結果」に人生を懸ける仕事人間の流儀「頑張ったからOKはダメ」【東京マラソン】

東京マラソンは3日、東京都庁~東京駅前行幸通りの42.195キロで行われ、女子1万メートル&ハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)が2時間21分50秒で日本人トップの6位だった。パリ五輪出場ではなく、日本記録更新を狙ってマラソンに挑戦。今回も2分51秒及ばず、また涙した。人生を懸けて挑む大記録。36歳になっても進化を目指す自称「仕事人間」には、結果にこだわる理由がある。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

東京マラソン会見で涙を拭う新谷仁美【写真:中戸川知世】
東京マラソン会見で涙を拭う新谷仁美【写真:中戸川知世】

東京マラソン

 東京マラソンは3日、東京都庁~東京駅前行幸通りの42.195キロで行われ、女子1万メートル&ハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)が2時間21分50秒で日本人トップの6位だった。パリ五輪出場ではなく、日本記録更新を狙ってマラソンに挑戦。今回も2分51秒及ばず、また涙した。人生を懸けて挑む大記録。36歳になっても進化を目指す自称「仕事人間」には、結果にこだわる理由がある。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 またも夢破れ、自責の念が込み上げた。日本記録2時間18分59秒まで2分51秒。自己ベストにも2分26秒届かなかった。晴れ渡る空、スタート時は気温6度、湿度38%。好条件を生かし切れず、新谷はフィニッシュエリアでうつむいた。

「ただただ力不足だと思う。多くの人が来てくださったのに、パフォーマンスとして何も残せなかったのが非常に残念」

「人任せにしない」。決意してスタートラインに立った。最低限だけ男子のペースメーカーに合わせながら5キロを16分37秒、20キロを1時間6分20秒で通過。「42.195キロをどれだけストレスなく走るか」。必要以上に時計を気にせず、自分の感覚を重視。「楽だと思いながら走っていた」。他の日本人選手を大きく引き離した。

 これが裏目に出た。「遅い!」。ハーフ直前、沿道から飛んだ横田真人コーチの声で気づく。「やばい」。狂った歯車を整えようと焦ってペースアップ。「その5キロで使い果たしてしまった」。25キロを過ぎ、体が重い。「日本記録、もうダメだろうな」。思い浮かんでしまったレース終盤の自分。諦めたわけではない。でも、イメージは簡単に現実へと変わった。

 時計を意識しないこと自体が、新たな自分を生み出すための策だった。「目に見える形で恩返ししたい」とパリ五輪を目指さず、選考会だった昨年10月のMGCを辞退。日本記録更新を優先し、記録の出やすい9月のベルリンを走った。2時間23分8秒で遠く及ばず。13年ぶりにマラソンに再挑戦した22年東京以降を振り返ると、「人任せだった」と痛感した。

 自己評価は誰よりも厳しい。

「勝負をするのは常に持っているテーマ。でも、マラソンで一切できていなかった。最初から勝負を投げてきた結果。自分から勝負を仕掛けて、追い求める結果を出したい」

 何が起きるかわからないのが42.195キロ。「普段から人任せだと、イレギュラーに焦って本来の力を発揮できない」。心が揺らげば体に表れる。今まで以上に自分で考えて動くことを意識した。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集