「もう出る」 桐生陣営はなぜ9秒台を確信できるのか 10秒04に感じた「伸びしろ」
「夢」と表現されるようになって久しい大台は、またしても出なかった。
「9秒台は通過点」…桐生祥秀が夢の大台確信する理由、「未完成」の10秒04
「夢」と表現されるようになって久しい大台は、またしても出なかった。
桐生祥秀は50人以上の報道陣が待ち構えた会見場に現れると「これだけたくさんのメディア、観客の皆さんがいた前でベストを出せなかった」と第一声、悔しさを隠そうとしなかった。「今日は本当に狙っていたので」。そう言って、唇をかんだ。
29日の織田記念国際。歴史的瞬間を見ようと約1万1000人のファンが殺到し、メインスタンドを埋め尽くした。熱視線が送られた男子100メートル決勝、第5レーンから圧倒的な速さで桐生が駆け抜けた。
「10.04」――。
スクリーンに表示された数字が映し出され、深いため息がスタジアムに充満する中、誰よりも悔しかったのは、本人である。
「皆さんが求めている9秒台を出したかった」。場内インタビューの第一声もまた、感情は隠れていなかった。しかし、その後に報道陣に対応しても、21歳の表情は言葉とは裏腹に少しの暗さもなかった。これだけ「9秒台を出したかった」のに、だ。その理由は、このひと言に隠れていた。
「まだまだ修正点があった。逆に、ここから伸びしろがあると思うんで」