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帝京大、コロナ禍入学の世代で掴んだV3 異例55分中断も…主将を支えた部員140人の「ONE HEART」

ラグビーの全国大学選手権決勝が13日、東京・国立競技場で行われ、帝京大が明大を34-15で破り、3大会連続12度目の優勝を飾った。創部100周年で5大会ぶり14度目の日本一を目指した伝統校を撃破。落雷による55分の異例の長さの中断を挟む悪天候の中、9連覇した2017年度以来のV3で王者の強さを見せつけた。

ラグビー大学選手権で優勝、満面の笑みを浮かべる帝京大の選手たち【写真:中戸川知世】
ラグビー大学選手権で優勝、満面の笑みを浮かべる帝京大の選手たち【写真:中戸川知世】

全国大学選手権決勝

 ラグビーの全国大学選手権決勝が13日、東京・国立競技場で行われ、帝京大が明大を34-15で破り、3大会連続12度目の優勝を飾った。創部100周年で5大会ぶり14度目の日本一を目指した伝統校を撃破。落雷による55分の異例の長さの中断を挟む悪天候の中、9連覇した2017年度以来のV3で王者の強さを見せつけた。

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 現4年生は新型コロナウィルスが蔓延し始めた2020年4月に入学した世代。感染拡大による活動休止の不安を抱えながら、HO江良颯主将(4年)を中心にスローガン「ONE HEART」を掲げた。最後に一枚岩となった最強軍団。約140人の部員全員で掴み取った3連覇だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ◇ ◇ ◇

 140人の心が一つになった歓喜の瞬間、泥だらけの主将は脚を引きづっていた。魂の2トライを奪い、両脚がつった江良。後半39分に退き、ノーサイドの笛はベンチ前で聞いた。仲間の顔を捉える視界は歪む。「ONE HEARTになれたんだ」。汗と、雪と、涙が入り混じり、頬を伝った。

「苦楽を共にして歩んできた仲間には、140人という大人数でグラウンドに立てない悔しさや、いろいろな想いがあったと思う。ここにたどり着くまでに全員が良い想いをして来たわけじゃない。その中でもチームが日本一になるためにハードワークを続け、いろいろなものを犠牲にしてきた。この仲間と1年間ともにプロセスを歩んできて、このタイトルは凄く価値があるし、誇りに思います」

 王者の精神を揺るがす異例の展開だった。前半3分に先制トライ&ゴールを奪ったが、みぞれの混じった雨が降り始め、同20分には落雷の影響で約2分間の中断。再開直後の同22分にまたも雷が鳴り、選手たちは控室に退いた。いつ再開されるかわからない。初めての経験。再開の目途が発表されては雷が鳴る。3度繰り返され、キャプテンも混乱した。

「どうチームのギアを上げるのか。雪は想定していたけど、雷は考えていない。どうすればいいか全然わからなかった」

 前を向かせてくれたのは、17年度まで9連覇の大偉業に導いた名将・岩出雅之前監督だった。「80分で終わる試合が100分に延びたのは嬉しいことや」。江良の気持ちは切り替わった。「そうやって考えれば大丈夫なんだと。言葉の重みを感じた。この仲間とできるのも最後。『前半の最初や』とメンバーに話した」

 メンタル面を名将に任せた相馬朋和監督。引き継いで2年目の自身は技術面で動いた。「私は雷でキックオフが遅れた経験がある。再開の判断が二転三転するのも把握できていた」。雷雲の位置を調べ、30分以内に通過するか否かを見極めた。冷えたジャージを一度脱がせ、温かい飲み物も用意。再開前のウォーミングアップ時間を想定し、逆算して選手を動かした。

 頼れる指揮官に操られた選手たちは、異例の55分中断でも気持ちを切らさなかった。雨が降り続く中、再開直後の前半26分、敵陣残り5メートルの左ラインアウトからモールを形成すると、最後方でボールを持った江良が隙をついてトライを決めた。それでも、創部100周年で優勝を奪いに来る明大だって諦めない。帝京大は14-12に迫られて後半へ。気温は5度を下回り、雨は雪に変わった。

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