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「50年先の日本ラグビー界にとって重要」 各国協会と提携、専務理事が描く未来への周到な戦略

新たな国際大会が日本ラグビーにもたらす影響

 ワールドラグビーは、世界トップの12か国が新大会に参加することと同時に、次のカテゴリーと位置付けられる12か国による2部大会の設立も発表している。この2つの大会で昇降格が実施されるのは2030年からだが、ワールドラグビーが、実力があれば将来的には最上位の大会に昇格できるという道筋を設けたことが、この組織の変化だと捉えている。

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「そこがたぶん最も大きな変革です。今まで10か国で仲良くやってきたのを、今回12に広げたことは大した問題じゃない。12チームの中に、どのチームも入れる可能性が明確に見えたということが重要だと思います。例えば日本もW杯前にハイパフォーマンスユニオンになりましたが、今まではそれすらどうすればなれるのか分からなかった。でも、今はウルグアイもポルトガルもどこでも、頑張ればトップ12に入れる。それがたぶん最も大きな変革じゃないかなと思います」

 そして、ワールドラグビーの門戸開放政策は、新大会以外にも同時に発表された次回W杯の出場チーム数が20から24に拡大されることからも読み取れる。ワールドラグビー、世界の強豪国の中に見られる変化は、先に指摘したような危機感に加えて、各国の国内での深刻な懸念材料も影響している。

「例えばイングランドであればプレミアシップ(国内最高峰のプロリーグ)の中の2チームが破産に追い込まれています。その他の世界のトップと呼ばれるユニオンでも、オーストラリアやアルゼンチンなどは、財政的に非常に難しい状況にあります。そういう意味で、いろいろなところでラグビーが大きく変わっていくことを(多くの協会が)相当重要視しているのは確かです」

 このような国際的なラグビーのうねりの中で、新たな国際大会が日本にもたらすものはなんだろうか。

「はっきりしているのは、世界のトップの国と確実に試合ができることです。そして、選手もファンも、今、小中学校でラグビーをしている子供たちも、自分たちが戦わなければいけない相手がはっきりして、目指すべきもの、目指すべきスケジュールがはっきりすることだと思います。これは今まで日本のラグビーには全くなかったことで、何よりも大きいと思います」

 日本のラグビーが本格的に世界へと視野を広げたのは2003年W杯のことだった。世界の強豪国協会の後押しもあり、初めてW杯を日本で開催したいという意思を持ったのだ。その後、様々な調査や検証を踏まえて、04年に開催地選考に手を上げ、09年にようやく19年大会の開催権を掴んだ。このような機運の中で、ワールドラグビー、そして世界の主要協会からの協力、理解を得られたことが、それまでは実現できなかった強豪国との代表戦が組めることに繋がった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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