アーバンスポーツの競技化を憂うのは「時代遅れ」 BMX・内野洋平が考える五輪の力
五輪競技となることがBMXフラットランドの抱える問題も解決
スケートボードやブレイキンなどが五輪競技となった当初は、本来持つカルチャーとしての側面が失われるのではないかという懸念する声も聞かれた。だが、東京五輪を終え、次のパリ五輪を翌年に控えた今、内野は「その考え方、もういいでしょ。時代遅れですよ」と言葉をつなげる。
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「その考え方はもう古いっす。そこは別個で考えないと。オリンピック競技になっても、カルチャーは失われない。それはスケボーで完全に証明されました。オリンピックに出る人は一つ一つの技を競う競技者だけど、彼らもカルチャーを持つ人間で、オリンピックの時だけ競技者となって認知度を拡大して、カルチャーも盛り上げてくれる。だから『俺はオリンピックとかじゃないんだよね』ってあえて言うヤツは、逆にダサイと思いますよ」
大きなカルチャーの中に「五輪競技」という分野が新設されるイメージだ。五輪競技という要素がカルチャーを凌駕することはない。「BMXフラットランドがオリンピック競技になった時、オリンピックもすごいけど、それでも一番カッコいい場所はFLAT ARKでいたいと思いますね」。あくまでもカルチャーを盛り上げるための一要素というわけだ。
だが、BMXフラットランドが五輪競技に採用されれば、現在抱える大きな問題を解決する糸口が掴めるという。その問題とは「日本が強すぎること」だ。
「日本のレベルは本当に高い。世界大会でも表彰台を日本人が独占するレベル。特に日本の子どもたちは競技人口も多いし、強い。これは日本の大人が頑張って育てたんです。日本は将来的に自分の立場が脅かされることになっても、若い世代を育てるんですよ。自分本位ではなく、フラットランドのシーンとして大切なことは何かを考える。でも、海外では形式上は育てているけど若い世代が伸びずに、いつまでも年取ったオッサンがトップにいるんですよ。それは本当の育成じゃない。
ただ、オリンピック競技となったら、全世界で強化を始めると思うんですよ。スケボーもオリンピックで採用されてから、変わった国がたくさんある。中国なんて急に本気になって資金を投入したから、もう一歩でトップクラス入りしそうな選手が数人出てきた。BMXパークでも少し前まで中国の選手はいなかったのに、今では女子なんか1位、2位が中国の選手。やっぱりオリンピック競技になると国が資金を投じるので、フラットランドも変わると思います」
日本が世界を牽引するBMXフラットランドもまた、五輪競技に採用されることで、さらなる発展の道を歩んでいきたい。
【FLAT ARK 2023 in 阪神甲子園球場】
開催日時:2023年12月23・24日 8-17時
会場:阪神甲子園球場グラウンド内
観戦チケット:1日券 各日1,000円(前売り)/2,000円(当日)※小学生以下無料
観戦エリア:スタンド席とグラウンド内 ※全席自由
プレイガイド:
イープラス https://eplus.jp/flatark/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/flatark2023/
ローソンチケット https://l-tike.com/search/?lcd=53176
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)