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サッカー新スタジアムは「一部でしかない」 総工費800億円超、ジャパネットが変える長崎の街の風景

今季からクラブのC.R.Oに就任した高木琢也氏。かつて指揮した長崎に5年ぶりに戻ってきた感想を尋ねると「まるで浦島太郎状態ですね」と苦笑い【写真:宇都宮徹壱】
今季からクラブのC.R.Oに就任した高木琢也氏。かつて指揮した長崎に5年ぶりに戻ってきた感想を尋ねると「まるで浦島太郎状態ですね」と苦笑い【写真:宇都宮徹壱】

ジャパネットのもう1つの柱となった「スポーツ・地域創生事業」

 長崎スタジアムシティの企画・運営は、リージョナルクリエーション長崎が直接的に担っているが、この壮大なプロジェクトを主導しているのが、グループ会社のジャパネットホールディングス。その代表取締役社長兼CEOは、創業者の髙田明を父に、WEリーグチェアの髙田春奈を姉に持つ、髙田旭人である。それにしてもなぜ、いち企業が巨額の投資をしてまで地域創生に関わるのだろうか。2022年1月1日の長崎新聞にインタビューが掲載されていたので引用しよう。

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《地域創生は行政のしごとと思われがちだが、地域のいち員である民間の仕事でもあり、雇用を創出すれば若者は残りたくなる。極端に言えば人口を増やし、健康寿命を延ばし、出生率を上げるところまでつなげたい。行政におんぶに抱っこではなく、自分たちが意思を持ち、前に進んでいきたい。》

 とはいえ、もともと通販会社であるジャパネットに、都市開発のノウハウも実績もない。そこで、三菱重工業工場跡地を買い取った翌年の2019年、グループ内にリージョナルクリエーション長崎を設立。都市計画や建築に知悉した人材が続々と集まってくる。現在、執行役員を務める折目も、そのひとり。もともと外資系不動産会社に勤務していたが、長崎での壮大なプロジェクトの存在を知ってジャパネットに転職し、すぐにリージョナルクリエーション長崎に転籍となっている。

 ジャパネットグループが、通販事業に並ぶ2つ目の柱として「スポーツ・地域創生事業」を掲げたのは2019年。そのきっかけとなったのが2年前、V・ファーレン長崎をグループ会社化し、髙田明がクラブ社長となった2017年である。当時、チームを率いていた高木C.R.Oは振り返る。

「クラブ経営が、旧体制からジャパネットに移行したのが、シーズン途中の6月くらい。ありがたいことに、現場との強化方針の食い違いとか過度な要求とか、そういったものはなかったですね。変化という点で言えば、当時の選手たちの表情が、明らかにポジティブなものになっていきました。経営状態のことを気にせず、安心して自分たちのプレーに集中することができたからこそ、あの年にJ1への自動昇格を果たせたと思っています」

 高木は2018年で長崎を離れ、大宮アルディージャやSC相模原の監督を歴任。今季、5年ぶりに帰還して「浦島太郎状態」と語ったのは、先に述べたとおりだ。C.R.Oは単なるアンバサダーではなく、パートナー企業や行政やボランティアなど、あらゆるステークホルダーと向き合うのが仕事。オフィスワークも増え、ジャパネットのメソッドを学ぶ日々が続いているという。

「僕がいなかった5年の間で、V・ファーレン長崎は大きく変わりました。ジャパネットの考え方が、あらゆるところに浸透しているイメージですね。『お客様にスタジアムへ来てもらうためにどうしたらいいか』『どうやったら楽しんでもらえて次につなげるか』など戦略の立て方とか、指導現場の仕事に通じる部分があって勉強になります。実際、毎日が勉強ですよ(笑)」

 現役時代は「アジアの大砲」と呼ばれ、監督としてクラブ史上唯一のJ1昇格を果たした高木C.R.O。そんな彼をして、深い感銘を与えているジャパネットの「考え方」や「戦略」といったものが、長崎スタジアムシティにも色濃く反映されているのは間違いない。が、それだけではないのも事実。後編では、ジャパネットが傘下に置く、もう1つのプロスポーツクラブにフォーカスする。(文中敬称略)

(宇都宮 徹壱 / Tetsuichi Utsunomiya)

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宇都宮 徹壱

1966年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追う取材活動を展開する。W杯取材は98年フランス大会から継続中。2009年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞した『フットボールの犬 欧羅巴1999-2009』(東邦出版)のほか、『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)、『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)など著書多数。17年から『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』を配信している。

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