脳の打撲で突然の現役引退 W杯で話題のピン芸人・しんやが「ラグビー芸人」として闘う理由
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会中に現地で活躍する日本のお笑い芸人がいる。ラグビーネタで勝負するピン芸人・しんや、33歳。4年に一度の祭典を観戦するため、自費でフランスに渡った。現地では日本人ファンだけでなく、海外ファンや選手と交流し、YouTubeとSNSで珍道中を発信中。日本戦の客席で大興奮する様子は国際映像のカメラにも映し出され、話題となった。
ラグビー芸人・しんやがフランスで奮闘、今に生きる帝京大・学生コーチの経験
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会中に現地で活躍する日本のお笑い芸人がいる。ラグビーネタで勝負するピン芸人・しんや、33歳。4年に一度の祭典を観戦するため、自費でフランスに渡った。現地では日本人ファンだけでなく、海外ファンや選手と交流し、YouTubeとSNSで珍道中を発信中。日本戦の客席で大興奮する様子は国際映像のカメラにも映し出され、話題となった。
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渡仏前の貯金残高はたったの477円、先輩芸人らに借金をして渡仏した。身を削りながらラグビー愛を届ける理由を聞いた前編に続き、今回は後編。明るさ全開のラグビー芸人だが、帝京大に所属した自身の現役引退は、実は脳へのダメージが原因だった。先の人生が見えなくなった中、ラグビーに救われた過去がある。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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ラガーマンとしての終止符は突然訪れた。
帝京大3年時のオフ。しんやは母校・大商大高のOB戦で頭を強く打った。脳挫傷となり、運ばれた病院で検査を受けると「先天性くも膜のう胞」が発覚。脳に再び強い衝撃を受けた場合、「死んでしまう」と医者から告げられた。
「え、じゃあ、何したらええねん」
何も考えられなくなった。ちょうど就職活動が始まる時期。「自分はラグビーありきの人生。その後の人生を考えた時、ラグビーで就職していくような将来をイメージしていたのが、いきなりなくなってしまった」。同期は名だたる一流企業に内定していく。「どうしよう、どうしよう」と焦りは募った。
帝京大の大学選手権9連覇は、自身の1年時から始まった。部内では5つあるチームのうち「3軍」だったが、ラグビーに人生を懸けてきたことに偽りはない。突如失った生きがい。いつも明るく何事も笑い飛ばせる性格だが、さすがに前を向けなかった。
でも、自分を救ってくれたのもラグビーだった。
大怪我をしたのに、チームメイトたちはいつも通りいじってくれる。盛り上げ役だった自分のキャラを理解しているからこそ。自然と笑顔になれた。「落ち込むよりも、今あることを頑張ろう。日本一が大学時代の大きな目標。だから、落ち込んでる暇ちゃうぞ」。そして、次に進むきっかけをくれたのが名将・岩出雅之監督だった。
勧められたのは学生コーチ。もう、部にいられないと思っていた矢先の提案だった。
「ラグビーをできひんなりに、仕事を与えてくれました。何もない状況じゃなく、無理やったとしても何か新しいことをやらせてもらえる。チームに携わらせてくれたので、そこで必死になりました。だから、落ち込んでいる暇なんてなかったですね」