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日本の陸上を「世界水準に引き上げたい」 サニブラウン、現役で次世代アスリート大会開催の意味

イベントには小中高生が参加。力走する姿にサニブラウン自身も刺激を受けたという【写真:牧野豊】
イベントには小中高生が参加。力走する姿にサニブラウン自身も刺激を受けたという【写真:牧野豊】

無観客の東京五輪に出場、「自分に何ができるか」を考え始める

 記録会の後は、参加者からの質疑応答、参加者1人ずつとの撮影会の場も設けられ、サニブラウンに憧れる選手たちにとっては、思い出に残る時間となった。

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「急ごしらえの大会でしたが、多くの応募(約500件)をいただいて感謝しています。今回は(運営なども)全部自分でやりましたが、やはり現役時代のうちに(こうした取り組みを)やることに意味がある。自分がアメリカにいるので、実際に日本の若い世代の人たちがどんな感じで練習をして、どんな気持ちで試合に臨んでいるのか見ることはなかなかできないですし、僕自身も子供たちから刺激をもらえて、良い機会になりました」

 サニブラウンはイベント後、報道陣の前でプレゼンテーションを実施。「試合より緊張している」と前置きしながらも、熱のこもった口調で陸上界を背負うアスリートとしての思い、そして自身が描く未来像を存分に披露した。

 きっかけは近年の日本スポーツ界の流れにおける、陸上競技の立ち位置だったという。

「サッカーのワールドカップ、野球のWBCなど日本のスポーツ界が盛り上がりを見せる中で、サッカー、野球、バスケットボールのチームスポーツに比べて陸上は少し寂しい部分があるなと感じました。個人競技なので国一丸というのは難しい部分もあるかもしれませんが、陸上競技も2021年の東京五輪から2025年(東京世界陸上)まで毎年世界大会があるレアな時期なのに、もっと盛り上がってもいいのではないかと感じていました」

 また、無観客で行われた2年前の東京五輪に出場したことで、選手として競技する上で、どれだけ周囲のサポートや応援が大事なものかを再確認。その経験から「競技者として、子供たちのために何ができるのか、陸上競技やスポーツ界に対して何ができるのか」を考え始めた。

 昨年は福岡と大阪で子供たちとの交流イベントを開催。今回は一歩踏み込んで若い世代に将来の選択肢やチャンスを与える意図も込めたスピードトライアルを実施した。そして今回のトライアルを布石に、来年以降、規模を広げた大会を開催していく計画を明かした。

 大会名は、「DAWN GAMES(ドーンゲームズ)」だ。

「DAWNとは英語で、夜明け、始まりを意味する単語で、いろんな人にとってのチャンスでここから這い上がるぞ、という意味、また『日出る国』である日本に因んで命名した部分もあります」

 青写真では、北海道から九州までの各ブロックで予選を開催し、来年のパリ五輪終了後に全国大会を実施する予定だという。この大会で優秀な成績を収めた選手たちには、サニブラウンの所属チームの練習を見学したり、世界最高峰のダイヤモンドリーグに帯同するなど、世界を「見て、感じる機会」を設けることも検討している。

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牧野 豊

1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「NBA新世紀」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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