サモア撃破を生んだ「侍タイム」の底力 逆境続きの日本、姫野和樹が伝えた試合直前の言葉
試合前、姫野から仲間へ「一人じゃない。強い絆があるから何も恐れなくていい」
逆境をプラスに変える。日本はそうやって強くなっていく。サモア戦のウォーミングアップでは、流が球出しなどをしてサポート。キャプテンは試合直前、メンバーに伝えた。
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「みんな一人じゃない。チームとしてここまで来た。一人じゃなくてみんなで来た。自分たちには強い絆があるから何も恐れなくていい」
高めてきたチーム力がピンチで機能する。前半37分、相手選手と顔面同士でぶつかったHO堀江翔太が一時退場。姫野は「試合の中で選手がいなくなるのは、今までもずっと経験してきた」と動じない。「チームの中で同じ絵を見てプレーすることが凄く重要」。14人になっても同じ。全員が意識を共有し、日本のラグビーを展開した。
17-8の後半4分には22メートルラインの突破を許したが、姫野が代名詞のジャッカルでボール奪取。鬼の形相で雄叫びを上げ、手を叩きながら仲間を鼓舞した。さらに同9分、敵陣残り約10メートルの右ラインアウトからモールで押し込み、自身のトライで22-8と突き放した。
会見で自己評価を問われても、「自分の評価は皆さんにしてもらえればいい。僕はチームが勝てればそれでいい」と謙虚な姿勢は崩さない。次戦10月8日のアルゼンチン戦に勝てば、史上初となる2大会連続の決勝T進出だ。
「そこまで自分たちを大きく変える必要はない。今まで通りチームが同じ絵を見て、一貫性を持っていくことが大事」
まだ課題はあるが、どれも日本の伸びしろ。頼れる主将を中心に、侍たちがフランスで刀を振るう。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)