サモア撃破を生んだ「侍タイム」の底力 逆境続きの日本、姫野和樹が伝えた試合直前の言葉
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は28日(日本時間29日)、プールD第3戦で世界ランク13位の日本が28-22で同12位サモアを下した。勝ち点4獲得で2勝1敗。イングランドに次ぐ組2位に浮上し、2大会連続の決勝トーナメント(T)進出に王手をかけた。最終盤に6点差まで迫られたが、主将のNO8姫野和樹が「侍タイム」を発令。正念場のスイッチで一枚岩になり、守り切った。大会を通じて強くなる日本の絆がより強固になった瞬間だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
ラグビーW杯
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は28日(日本時間29日)、プールD第3戦で世界ランク13位の日本が28-22で同12位サモアを下した。勝ち点4獲得で2勝1敗。イングランドに次ぐ組2位に浮上し、2大会連続の決勝トーナメント(T)進出に王手をかけた。最終盤に6点差まで迫られたが、主将のNO8姫野和樹が「侍タイム」を発令。正念場のスイッチで一枚岩になり、守り切った。大会を通じて強くなる日本の絆がより強固になった瞬間だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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守り切れば勝ち、1トライ1ゴールで7点を奪われれば逆転負け。28-22の終了間際、姫野は全員に「侍タイム」を呼びかけた。
「僕たちの侍タイムをつくって自分たちの役割、勇気やメンタリティーを示す。侍コールをかけて自分たちがやってきたことを出した」
猛然と襲いかかってくる重厚なサモアの攻撃。日本は声を掛け合い、互いに気合を入れた。強さを増した桜のジャージの壁。相手のミスからボールを奪い、しのぎ切った。決勝T進出が大きく遠のき、ピッチでうなだれるサモア選手たち。汗だくになった日本の主将は、相手の一人ひとりと健闘を称え合うため、歩いて回った。
「チームを誇りに思います。彼らの努力があってこその勝利だと思います」
仲間の存在にも胸を張った主将。1勝1敗で迎えた今回は、負ければ決勝Tの自力突破が消滅する危機だった。前戦は終盤にイングランドの勢いにのまれ、ミスからずるずると引き離されて敗戦。試合後、もともとチーム内にあった「クランチタイム」の名称を「侍タイム」に変えた。
中身はさほど変わらないかもしれない。だが、ほんの少し言葉を変えることで底力が湧いた。
この日、ピッチに立つまでの道のりも簡単ではない。今大会2試合とも先発してきたSH流大が、右ふくらはぎの負傷で前日練習に不在。姫野は「チームとして悲観的になりたくなかった」と振り返る。齋藤直人がW杯初スタメン、キャップ0の福田健太がリザーブ入り。練習前の円陣では福田に対し、全員で拍手を送って迎え入れ、士気を高めた。
「流の怪我はとても残念。だけど、その代わりに福田健太というずっと頑張ってきた選手がファーストキャップを獲得する。それはポジティブなこと」