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関東の強豪校は「実業団選手に近い」 中四国駅伝王者を指導、尾方剛が指摘する地方大学との差

中距離選手の指導を通じて変わった価値観

 指導をスタートさせた時は、長距離種目をメインに出雲駅伝と全日本大学駅伝への出場が大学から目標として言い渡された。そして4、5年間やっていく中で、中距離の選手も入学してくるようになった。

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 尾方に大きな影響を与えたのは、今年3月に卒業し、KAGOTANIに入ったOBの山﨑優希の存在だ。大学4年時には日本インカレ800メートルで3位、1500メートルで6位に入った。今年の日本選手権800メートルでは4位だった。

「山﨑とか中距離の選手を見ることで、長距離にはない魅力、スピード感など、自分の陸上に対する価値観みたいなものがすごく変わりました。トラックでのスピードですとか、長距離の自分がなかなか行けないところに連れていってくれましたし、日本選手権などで活躍する姿を見て、自分のやりがいが少しずつ大きくなっていきました」

 長距離の経験しかなかった尾方は、中距離選手の指導のためにTWOLAPSの横田真人に話を聞いたりした。中距離の練習メニューは、長距離とまったく異なり、レベルに合わせて個別に考えていくのは大変だが、それも楽しいという。中距離は長距離や短距離に比較すると人気が薄く、競技人口も少なかったが、最近は三浦龍司(順天堂大)や田中希実(New Balance)など強い選手が出てきており、注目を集める種目になりつつある。

「人気が出るという点においては、三浦くんや田中さんのようなポテンシャルが高い選手をスーパースターに育て上げていかないといけないと思います。子供たちがなりたいと思う選手になっていけるか。それでその競技への注目も関心も全然違うものになりますから」

 中距離に関しては関東や関西にも負けないレベルの選手を輩出しているが、長距離については格差が広がる一方だという。

 特にここ数年は、関東との差はさらに広がっている。

「今は学生でも1万メートルで27分台、5000メートルで13分20秒とか30秒台が普通に出るようになりました。これはシューズが良くなった面もありますが、大学が実業団のメニューをこなしてきたからこそ生まれるタイムです。これは、大学と実業団の連携が大きい。学生は企業にサポートしてもらいながら合宿に参加したり、実業団の枠組みの中で強化しているので、僕からすれば関東の大学生は学生というよりも実業団の選手に近い感じがします」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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