ハーバード大卒の世界陸上200mメダリスト 修士号を持つ米26歳女子が語る、世界レベルの文武両道
第17回は、25日(日本時間26日)の女子200メートル決勝で銀メダルに輝いたガブリエル・トーマス(米国)が登場する。世界屈指の名門ハーバード大を卒業し、テキサス大大学院にも通った才女。在学中の2021年東京五輪でも2つのメダルを獲りながら、今年5月に公衆衛生学の修士号を取得した。文武両道を地で行く26歳。両立の秘訣には、陸上と勉強への情熱があった。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第17回
ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。
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第17回は、25日(日本時間26日)の女子200メートル決勝で銀メダルに輝いたガブリエル・トーマス(米国)が登場する。世界屈指の名門ハーバード大を卒業し、テキサス大大学院にも通った才女。在学中の2021年東京五輪でも2つのメダルを獲りながら、今年5月に公衆衛生学の修士号を取得した。文武両道を地で行く26歳。両立の秘訣には、陸上と勉強への情熱があった。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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レース後のチャーミングな笑顔は、ちっとも飾らない人柄を感じさせた。
24日(同25日)の200メートル準決勝、初出場のトーマスは全体トップの21秒97(向かい風0.1メートル)で通過した。「このために1年中ずっと練習してきましたから。(メダル獲得は)何もせずに起こることではありません」と笑顔。「精神的にも、身体的にも良い状態。ホットな走りができると思います」と語った通り、決勝は21秒81(追い風0.1メートル)で銀メダルを手にした。
トラックで過ごすのと同じくらい、机に向かうことにも時間をかけてきた。15年から通ったのは世界的名門のハーバード大。4年間、勉強と同時にスプリンターとしての実力も磨いた。コロナ禍で東京五輪が1年延期になると、大学院受験を決意。20年からテキサス大大学院で疫学を専攻し、翌年には五輪に出場してみせた。しかも、200メートルで銅メダル、4×100メートルリレーで銀メダルだ。
当時は午前9~11時頃まで授業を受け、正午から長くて4時間ほどトレーニングを積む日々。以降の時間は、休養で体と心のリフレッシュに充てた。
「あれ(東京五輪)で自信を得ました。世界の舞台でもやっていけると感じましたし、実際にメダルを獲得することができましたから」
どちらかを疎かにすることはなく、今年5月に公衆衛生学の修士号を取得して卒業。7月には21秒60(向かい風0.4メートル)の自己ベストをマークし、ブダペスト世界陸上にやってきた。「2年前の東京五輪でやったことをここでも思い出してレースに出ています」。勉強と陸上を両立させた自信は、大舞台での活躍を支えている。