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「俺が最速。以上」 自己肯定こそ成功の鍵、世界陸上100m王者から若者たちへ「自分を信じろ」

ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。第4回は、20日(日本時間21日)の男子100メートル決勝で今季世界最高9秒83(無風)を記録し、金メダルに輝いたノア・ライルズ(米国)。優勝後の会見では「次の質問に行く前に」と自ら切り出し、王者のメンタリティを説いた。ファイナリストたちがそろって口にしたのは自己肯定の大切さ。その言葉には日本人にも届けたい深みがあった。

男子100メートルで金メダルに輝き、かめはめ波ポーズを決めるノア・ライルズ【写真:ロイター】
男子100メートルで金メダルに輝き、かめはめ波ポーズを決めるノア・ライルズ【写真:ロイター】

ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第4回

 ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。

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 第4回は、20日(日本時間21日)の男子100メートル決勝で今季世界最高9秒83(無風)を記録し、金メダルに輝いたノア・ライルズ(米国)。優勝後の会見では「次の質問に行く前に」と自ら切り出し、王者のメンタリティを説いた。ファイナリストたちがそろって口にしたのは自己肯定の大切さ。その言葉には日本人にも届けたい深みがあった。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

 ◇ ◇ ◇

「俺が最速。以上」

 熱戦の余韻が残る会見。今季世界最高タイムでブダペストの夜を駆け抜けたライルズは、力強く言い放った。昨年のオレゴン大会の200メートルは19秒31で優勝。マイケル・ジョンソンが1996年アトランタ五輪で記録した19秒32の米国記録を26年ぶりに塗り替えた。200メートルに続き、100メートルでも手にした「世界最速の男」の称号。26歳のスプリンターは満足げに微笑んだ。

「心の中ではずっとそう(俺が最速)信じてきた。でも、それを最大限の自信を持って言うためには、100メートルで勝つ必要があった。それが今日の持つ意味だ」

 2~4位が9秒88で並ぶ大激戦。ライルズは先行を許したが、残り30メートルで先頭へ。ライバルたちより体一つ抜け出した。「とてもノア・ライルズらしかったね」。誇らしげに笑いながら振り返った自らの走り。頭にあったのは一つの信念だ。

「『あそこに着いた時には、俺が最速の男だ』。フィニッシュラインを切るまで、それを信じ続けた」

 メダリスト3人で臨んだ会見では、何度も「believe in myself(自分を信じる)」という言葉が飛び交った。銅メダルのザーネル・ヒューズ(英国)が「まだとてつもない何かを成し遂げられると自分を信じている」と口にすると、ライルズは「次の質問に行く前に……」と記者を制し、自らマイクに触れた。

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