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ラグビーW杯まで1か月、日本代表の“精巧なパズル”は完成するか 国内前哨戦「1勝4敗」を検証

ラグビー日本代表は9月開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会に向けて、8月5日に「リポビタンDチャレンジカップ2023」の最終戦を行い、フィジー代表に12-35と完敗した。前回W杯のベスト8超えを目指すジェイミー・ジャパンにとって、試金石と位置付けられた今季の国内代表戦は1勝4敗で終了。15日の運命のW杯メンバー発表を待つ。4年前のW杯前哨戦は、優勝した南アフリカ(7-41)にこそ敗れたが、今年も対戦したフィジー(34-21)、トンガ(41-7)、そしてアメリカ(34-20)を連破して世界の祭典に臨んだだけに、ファン、関係者も不安を抱きながら開幕まで残り1か月を切った。W杯8強突破という新たな時代を切り開く実力は、今の日本代表にあるのか。その可能性と課題を、ここまでの戦いから検証する。(取材・文=吉田 宏)

フィジー戦で先発した松島幸太朗。持ち味を見せたもののチーム全体でのミスも目立った【写真:Getty Images】
フィジー戦で先発した松島幸太朗。持ち味を見せたもののチーム全体でのミスも目立った【写真:Getty Images】

フィジー代表に12-35と完敗

 ラグビー日本代表は9月開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会に向けて、8月5日に「リポビタンDチャレンジカップ2023」の最終戦を行い、フィジー代表に12-35と完敗した。前回W杯のベスト8超えを目指すジェイミー・ジャパンにとって、試金石と位置付けられた今季の国内代表戦は1勝4敗で終了。15日の運命のW杯メンバー発表を待つ。4年前のW杯前哨戦は、優勝した南アフリカ(7-41)にこそ敗れたが、今年も対戦したフィジー(34-21)、トンガ(41-7)、そしてアメリカ(34-20)を連破して世界の祭典に臨んだだけに、ファン、関係者も不安を抱きながら開幕まで残り1か月を切った。W杯8強突破という新たな時代を切り開く実力は、今の日本代表にあるのか。その可能性と課題を、ここまでの戦いから検証する。(取材・文=吉田 宏)

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 真夏の夜の“壮行試合”は、2週間前の再現のような試合展開になった。前半6分に、今季の代表初戦となったFL(フランカー)ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)のタックルが、頭部への危険なプレーと判断されて一発退場。サモア戦では残り50分を14人で戦ったが、今回は74分間を1人少ない状態での戦いを強いられたことで、サモア以上の実力を持つ南太平洋の“マジシャン”の猛攻撃を受けた。

 過去には「不運」で片づけられていたレッドカードだが、時代は変わっている。危険なプレーへの厳罰化が進むラグビーでは、今や反則もチームの能力、実力と考えていい。いかに規律を守れるかも、勝つための重要なファクターになるのが“テストマッチ”ラグビーであり、その究極にあるのが1点でも相手を上回ろうとするW杯ラグビーだ。

「サモア戦の経験はあったので、14人でも自分たちのラグビーができると思っていました」

 司令塔のSO(スタンドオフ)松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)は前を向いた。確かに14人となった後もフィジーの猛攻を前半終了直前まで1トライに凌ぎ、ゲーム終盤には2トライを奪い返したが、戦力不均衡は明白だった。WTB(ウイング)ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)がFLに入ったスクラムは、データ上では100%の成功率だったが、前半許した3トライ中レッドカード後の2本は押し込まれたスクラムが起点となった。

 実質7人で組むスクラムで重圧を受けたことが、W杯本番でも起こるとは限らない。だが、フィジーがスクラムを右側から押し込むことで、容易に右展開を仕掛けてきた注文相撲のような組み負け方は、W杯本番への不安材料だ。対戦するイングランドのような、セットプレーに自信を持つ相手を考えると、どこまでスクラムで対抗できるかという不安は拭えない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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