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W杯まで「まだ7週間ある」 世界最強“2軍”に2連敗も…ラグビー日本代表が見出した光明とは

37歳の堀江翔太が見出したポジティブな要素

 オールブラックス予備軍が演じた相手の隙を突いて、相手が対処できないスピードで振り切るアタックこそ、日本代表がやりたい攻撃であり、防御に目を向けると、相手の仕掛けてくる素早い展開をフィールドのメンバーが把握し、より多くの仲間が共有して動くことも十分ではなかった。試合ごとにゲーム主将を入れ替えるなど、戦況を判断し、情報を逐一発信するリーダーが試行段階ということが祟ったとも考えられるが、2か月後の本番へ向けて最強の予備軍からもらった重要な宿題と考えていいだろう。

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 もちろん、先へ向けた収穫も見えたゲームでもあった。2019年W杯以来の先発でプレーしたHO堀江翔太(埼玉WK)は、連戦を終えてチームのポジティブな要素をこう指摘する。

「やろうとしたことは選手みんなが結構明確に理解し始めているので、すべてが悪い感じじゃなかった。ここ繋げればとか、個人のスキルがもっと上がれば(良くなっていく)ということじゃないですか? 相手にカウンターから突破される部分は、まだ練習していない部分。そこらへんのコミュニケーションはでき上がっていないが、自分たちがやろうと取り組んできたディフェンスやアタックは結構向上していると実感しています」

 37歳のベテランの言葉からも、チームがいまだ熟成途上だと感じさせるが、6月の浦安合宿でしごかれたタックルでの1対1のヒットの強さなどには手応えを掴んでいるようだ。第1戦と同様に、日本の攻撃が相手防御にスローダウンさせられる場面もあったが、前半25分の松島のチーム初トライでは、テンポのいい連続攻撃で相手防御が不十分になったエリアを突いた。テンポさえ作れれば、仕留められるという感触はある。

 後半14、19分にはWTB(ウイング)セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)が連続トライをマークして決定力を印象づけたが、本人は「内側の選手たちが仕事をしてくれたおかげで 僕は外側でボールをもらってトライラインを越えることができた」とチャンスボールを回したFWとインサイドBKの貢献を指摘する。11分から登場して攻撃をテンポアップさせたSH(スクラムハーフ)流大(東京SG)も「途中からの出場だったので、チームにエナジーを加えたかった。僕が火を点ける役だったが、みんながついてきてくれた。特にFWが前に出てくれたので、そのおかげだと思う」と光明を感じ取っている。

 チームの戦術を見ると、3-12で迎えた前半16分に敵陣ゴール前のPKで2度連続でスクラムを選択している。W杯では間違いなく確実に3点を得るPGを選ぶ状況で、トライを狙ってきた。しかもスクラムの真後ろにSOとFBが近い距離で縦に並ぶ特殊な陣形も2度使ってきた。これは明らかに、これからの戦いに備えたシミュレーションと考えられる。試行段階の実戦では、勝敗よりも戦術のテストという意味合いもあるのだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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