井岡一翔、無用な騒動に掻き消されたもの 日本人屈指の魅力だからこそ「もったいない」
12ラウンド徹底できるのは体力と精神力の証し
34歳になっても12ラウンドを通して基礎を貫けるのは、体力作りを怠らなかったことの裏返し。集中力を含めた精神面の強さも欠かせない。5月から1か月半、米ラスベガスで合宿。フィジカル、食事面にも気を使い、常に最善を求めてきた。コンディションも良く「今回はずっとやってきたことがバシッとハマった。やる限りは常に成長していきたい」と話す。
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WBO王座の指名試合の義務があったが、返上してまでフランコとの決着を選んだ。日本開催の世界戦史上最悪の体重超過をされても、「ここまで来て何がなんでも僕は戦いたかった」と意思は揺らがず。試合直前の体重は井岡の57.5キロに対し、フランコは60.2と2.7キロ差。不利な条件でも長年のキャリアで磨いた技術で相手を封じ、勝ち切った。
残り少ないキャリア。今後は階級内で最も高い実績を誇るWBC王者ファンフランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との統一戦実現を最大のターゲットにしている。
昨年大晦日の試合前に行われたドーピング検査で大麻成分が検出された。再戦3日前に日本ボクシングコミッション(JBC)が公表。フランコの大幅な体重超過も相まって、見る側の焦点がリング外に飛んでしまった。
本人が「これから検体から何も出ないことが一番」と語る通り、違反に当たらない微量の成分だったとしても、陽性が出ないように努めるのは言わずもがな。日本のボクシング史上屈指の技術力を誇る、日本人唯一の4階級制覇王者。しかも節目のプロ30勝。その魅力が無用な騒動で掻き消されたことは、もったいないし、残念に思う。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)