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ラグビーが「難しくなっている」 1試合で6回のTMO、リーグワン名勝負から考える最適な運用法

リーグワン1試合平均のTMO実施回数は前年度から減少

 選手からは、プレーする側ならではの意見も聞いた。4強チームに所属し、代表にも呼ばれることもあるベテランの域に達したある選手の声だ。

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「レフェリー自身がもっと自信を持って判断するなら、それを尊重したいと思います。でも、TMOが必要なところはもちろんありますが、一部には形式的にやっているなと感じてしまうこともある。それにスーパーラグビー(パシフィック)を観ていても、すごくパッとTMOによるチェックが終わるので、日本でももっと流動的に、早いジャッジができるのではないかと思います」

 他の代表経験者も、こんな指摘をしている。

「TMOはレフェリーや(TMO)担当者の判断で実施されています。でもプレーをしていて感じるのは、他の競技のようにチーム、選手からの申告でやってほしいということ。もちろん、試合中に何度も申告するのは難しいが、それこそ他の競技のように申告できる回数を制限してでもいい」

 ラグビーの場合は、他競技と比べても伝統的にレフェリーへの抗議やアピールには厳しい制約がある。レフェリーが絶対なのだ。試合中にレフェリーのジャッジに関して確認、質問できるのは原則ゲームキャプテン1人で、もちろん監督、コーチも許されない。この厳格さは、ラグビーのレフェリーがすべての反則やミスを厳格に取り締まるのではなく、オフサイドなどでもプレーに影響のないものは敢えて取り締まらないという“執行猶予”の状態でゲームをコントロールしていくという特性も影響している。

 さらにTMOの場合は、レフェリー、TMO担当者の判断だけで適用されるために、キャプテンですらアピールはできないのだが、選手としてはやはり自分たちが疑問に感じたプレー、際どいと感じたシーンをビデオで正確にチェックしてほしいという思いがあるのも不思議ではない。

 このようなチーム側の声は、レフェリー当事者側も十分理解している。トップレフェリー経験者でもある日本協会レフェリー部門のある複数の責任者が、TMOをどう捉え、どのような取り組みをしているのか。その声をまとめて紹介しよう。

 まず原則として、積極的に自分自身の目で見てジャッジすることは各レフェリーにも求めているという。準決勝2試合での11回のTMOを引き合いに出したが、リーグワン1試合平均のTMO実施回数を見ると、前年度の2.4回から2.1回と微少ではあるが減少している。責任者は「決して多い数字ではないが」と控え目だが、僅かであっても回数が減少している事実は、レフェリーがTMOに依存せず、自身の判断を心がけた姿勢が反映されていると考えていいだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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