女子ゴルフ完全V岩井千怜、驚異のメンタルを62歳コーチが解説「中3の時、タイで経験したこと大きい」
女子ゴルフの国内ツアー・宮里藍サントリーレディス(兵庫・六甲国際GC)は11日、20歳の岩井千怜(Honda)の優勝で幕を閉じた。大会記録となる通算23アンダーをマークし、今季2勝目&ツアー通算4勝目。2位に5打差をつけ、初日から首位を譲らない完全優勝となった。大会後、千怜と双子の姉・明愛(Honda)は既に出場権を手にしていた7月の全米女子オープンに続き、8月のAIG全英女子オープンの出場権も獲得。埼玉・毛呂山町の練習場リンクスゴルフクラブで朗報を知った2人のコーチ・62歳の永井哲二さんは「もう、すごすぎて僕の気持ちが追いつきません」と笑いつつ、千怜のメンタルが強くなったきっかけなどを明かした。(取材・文=柳田通斉)
宮里藍サントリーレディスで今季2勝目
女子ゴルフの国内ツアー・宮里藍サントリーレディス(兵庫・六甲国際GC)は11日、20歳の岩井千怜(Honda)の優勝で幕を閉じた。大会記録となる通算23アンダーをマークし、今季2勝目&ツアー通算4勝目。2位に5打差をつけ、初日から首位を譲らない完全優勝となった。大会後、千怜と双子の姉・明愛(Honda)は既に出場権を手にしていた7月の全米女子オープンに続き、8月のAIG全英女子オープンの出場権も獲得。埼玉・毛呂山町の練習場リンクスゴルフクラブで朗報を知った2人のコーチ・62歳の永井哲二さんは「もう、すごすぎて僕の気持ちが追いつきません」と笑いつつ、千怜のメンタルが強くなったきっかけなどを明かした。(取材・文=柳田通斉)
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永井さんは、いつものようにリンクスゴルフクラブにいた。朝10時には出勤し、利用者へのレッスンを繰り返していた。地上波の中継を見る時間もなく、スマートフォンでスコア速報を追いかけた。そして、千怜の優勝を確認した後、電話取材に応じた。
「通算4勝目ですが、4日間トーナメントで勝ったのは初めてですね。しかも、首位を守り通した。この前までここで毎日練習をし、2年前にプロテストに合格したばかりなのに、もう、ビックリし過ぎて気持ちが追いつきません(笑)」
最終日は2位に5打差をつけてスタートしたが、2位申ジエがチャージしてきた。千怜は10番パー4でボギーを打ち、11番パー3では申がバーディー。1打差に迫られた状況下、千怜は12番パー5の第2打後、「今、険しい顔してる。これじゃあ、見ている人は面白くないな」と思いを巡らせた。
すぐに切り替え「ここで良いショットをしたら沸くだろうな」。そう思いながらの第3打は残り55ヤードからピンそば2メートル半に寄せると、頭に描いた通りの光景が広がった。
「少し考え方を変えて『見ている人の歓声を聞きたい』と思っていました。ファンの方々をイメージする。ピタッと寄せれば、歓声が『ワーッ!』って」
このマインドの切り替えでバーディーを奪うと、14番パー4では、第2打を50センチに寄せてスコアを伸ばした。さらに左が池の16番パー3では、グリーン左側のピンを攻めて2メートルにつけた。
永井さんはこの展開を聞き、「優勝争いを何度もして、その緊張した雰囲気にも慣れたんでしょうね。あとは、お父さんから言われてきて根付いた『観客を楽しませるゴルフをする』の気持ちが大きいです」と解説した。その上で、メンタルの強さはジュニア時代から感じていたことを明かした。
「どこに行っても物怖じをしないですし、中学3年で出場したタイのジュニア大会に出場した時もそうでした。4日間開催でちーちゃん(千怜)は、初日から首位でしたが、最終日の途中で逆転されてしまった。それでも、あきらめないでプレーし、最後は劇的な再逆転で優勝を飾りました。思えばあの時もニコニコ笑いながらのラウンドでしたね。でも、終わった後は大号泣。うれしさより、緊張から解放された安堵感からでしたが、あの経験は間違いなく今も生きていると思います。メンタル面がさらに強くなりましたから」