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加齢による体の変化さえ「楽しく思う」 31歳五輪スプリンター・飯塚翔太の苦悩をプラスする方法

「いい時の走りに戻すのはほとんど不可能。だから…」

 長い競技生活で増えたのが練習の引き出しと経験値。「この練習をしたらこんな結果を得られた、という練習の感覚があるんですけど、(加齢で)自分の求める結果と違うことが増えてくる」。誰しも訪れるものだが、飯塚は「それはそれで面白く感じたり、変化を楽しんだりするんです」と受け止めている。

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「体が変わってくることに対しても楽しく思う。例えばよくある話で、2日後に筋肉痛が来ることもちょっと楽しく感じたり。予想外のことをマイナスじゃなく、プラスに感じ続けることが変化を楽しむのに大切だと思います。そういうものなんだって。

 全然違う結果になっても、『あー、なるほど。面白いな』と常に楽しむ。いい時の走りの感覚もあるんですけど、もう戻ることはほとんど不可能。だから、そっちに寄せていくのではなく、どんどん新しい自分をつくっていくイメージでやっていくことですね」

 レース直前の痙攣も、膝の痛みも、いわば苦悩。でも、それも人生を豊かにするためのスパイスなのかもしれない。この日のレース結果は悔しいが、「直線の練習だけでここまで来られたのは一つの収穫」とプラスに転換した。

 日本選手権200メートルは13、16、18、20年に優勝。この日は20歳の鵜澤飛羽(筑波大)に初優勝を譲った。「負けられないですね。いつも刺激を受けてばっかり」。悔しさもありながら、雨に濡れた顔はどこか嬉しそう。4大会連続5度目の世界陸上代表の可能性は残る。

 U20世界選手権では、短距離種目において日本男子初の優勝。五輪は12年ロンドンから21年東京まで3大会連続出場した。陸上教室で子どもたちにトップ選手のスピードを体感してもらいたいという想いもあり、37歳になる28年ロサンゼルス五輪くらいまでは現役にこだわるつもり。

「まだまだ練習でやりたいことがたくさんある。ちゃんと自分が先頭で走ってゴールしたいです」

 第一人者はどこまでも前向きだった。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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