大卒→プロテスト5度目で合格→下部ツアーV 女子ゴルフ27歳・高野あかりが歩んできた挑戦の道
4度目のプロテストでやめなかったのは両親の言葉
「ショックでした。2次で落ちることは想像もしていなかったからです。そして、(挑戦を)終わりにすることを真剣に考えました。テストに落ちることが辛すぎたからです。年下の若い選手がどんどん、ツアーで優勝している中、自分は『年齢的に厳しくなったのでは』という思いもありました」
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だが、両親から「本当にやり切ったのか」と問われ、自分を見つめ直したという。
「やり切れてはいない。あと一度、悔いのないように全力でやってみよう」
再起した高野は、メンタル強化に重点を置いて日々を過ごした。師事してきた西野貴治コーチには、「プレッシャーの中で振り抜く」を教え込まれた。アドレスに入る前のルーティンを徹底し、その後は“無”になる。それをやり通して、5度目のプロテストでは、カットラインを9打上回る6位で合格を果たした。
「とにかく“無”になって振り切る。昨日は、合格した最終プロテスト以来のあの感覚でプレーできました。コーチと話し合い、コックのタイミングで考え過ぎていたことに気付いて、それを止めたのが大きかったです」
過去の5戦は3戦で予選通過し、最高位は8位。獲得賞金は計62万457円だったが、この1勝で360万円を手にした。
「これは本当にうれしいです。プロテスト合格後、初めてスポンサードをしていただき、経費面ではとても助かっていますが、大きな賞金を得られたことは自信になりました。これでネガティブ思考から脱せるかもしれません(笑)」
ルーキーの27歳が掴んだ希望。頭の中には「1日でも長く、試合に出ていたい」の思いがあり、30代でもツアーで活躍する藤田さいき、上田桃子、菊地絵理香、金田久美子、葭葉ルミらをリスペクトしている。
「私はまだレギュラーツアー出場の経験もないのですが、長く活躍されている方々の存在がとても励みになっています」
実は高野自身も「励み」の対象になっている。今も所属しているDSPE(ツアープロを目指す女子ゴルファーの団体)には、法大同期生の小林瑞季ら複数人の大卒選手がいる。プロテスト合格に挑み続ける彼女たちにとっては、高野の「今」が希望になっている。
「もし、そうであればうれしいです。20代後半になっても、合格できますし、活躍できることを証明していきたいです。次の目標は賞金ランキング1位か2位に入り、来季レギュラーツアー前半戦の出場権獲得です」
前週を終え、ランキング7位で残り16試合。ステップ・アップ・ツアーには、年下、ベテラン、ツアー優勝経験者も集うが、高野はここで成長を期す。
■高野あかり
1996年1月31日、千葉・八千代市生まれ。法大卒。父親と兄の影響を受け、10歳でクラブを握った。スコアがまとまり始めたのは法大1年からで、3年時には団体戦で関東No.1に。目標にしているプロは葭葉ルミ。趣味は音楽鑑賞。158センチ、血液型A。
(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)