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ラグビー日本代表、世界「最上位層」入りの背景 加速する“縦軸”交流、王国NZと提携した意義

会見に出席した日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事(左)とNZ協会のマーク・ロビンソンCEO【写真:吉田宏】
会見に出席した日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事(左)とNZ協会のマーク・ロビンソンCEO【写真:吉田宏】

NZとの連携は日本にとってまたとないチャンス

 覚書では期限を2027年までとしているが、同専務理事が「それ以降の国際的な動きがまだまだ流動的で、まず当面見えている期間ということで定めている。27年で終わるということではない」と指摘。両協会とも永続性のある関係を模索していく。

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 現時点で具体性があるのは、まず男子15人制チームの交流だが、先に挙げた7月の「XV」戦に加えて、5月27日には東京・秩父宮ラグビー場でU20(20歳以下)日本代表とNZU(ニュージーランド学生代表)の対戦が組まれている。リーグワンでも、会見に同席したリーグワン東海林一専務理事が「NZチームとの関係を深めることができるのは素晴らしい機会。早期に具体的な成果を実現していきたい」と説明。双方の強豪チームが戦うような大会の実現を目指すが、これはリーグワンが発足前から打ち出しながら、いまだに実現していないクロスボーダー大会にも繋がる構想だ。同専務理事は5月22日に行われたリーグワンアワード(年間表彰式)でも、来季の実現へ意欲を見せている。

 今回のパートナーシップ締結の伏線は2019年の“熱気”にある。日本代表が、開催国となった同年のラグビーワールドカップ(W杯)で史上初のベスト8進出という躍進を見せ、ラグビー人気が日本全土で過去にない盛り上がりを見せた。その熱気を受けてJRFUでは将来、再びW杯を招致することを決議。日本代表が掲げる目標も、2度目の開催に相応しい優勝と定めたために、従来以上に代表強化、そして協会の組織力向上などの環境整備が大きな課題に浮上した。

 一方で世界の強豪国に目を転じると、日本にはない強化環境が整っている。ヨーロッパでは「6か国対抗」、南半球勢は「ラグビーチャンピオンシップ」という国際大会で、毎年ハイレベルな試合を繰り広げている。2019年大会ベスト8チームの中で、強豪国に追いつこうという立場の日本だけが、定期的な大会を組めない状態が続いている。ワールドラグビーも、史上初めて南北半球を網羅したフォーマットで行われる国際大会「ネイションズ・チャンピオンシップ」の2026年からの開催を目指しているが、日本が他の強豪国と同等か、それ以上の試合数を確保できる状況には至っていない。

 そんな背景もあり、NZとの連携は日本にとっては大きなメリットがある。オールブラックスは、2019年W杯では準決勝でイングランドに敗れ、その後もアルゼンチン、アイルランドらに屈するなど苦境が続くとはいえ、常に“世界最強”の称号を持ち続けてきた。過去の対戦成績でも、日本代表に7戦全勝と1度も負けたことがない強豪国だ。日本が定期的にテストマッチを組み、対戦のないシーズンも世界トップ10クラスの準代表との対戦が担保されていることは、代表強化の観点からはまたとないパートナーシップだった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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