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女子ゴルフ史に名を刻んだ岩井姉妹、62歳コーチが振り返る“直ドラ”への取り組み「教えていませんが…」

うれしかった明愛の成長 2日目の後に送ったメッセージに対し…

 うれしかったことはもう1つ。負けた明愛の成長だ。首位の千怜と2打差で迎えた16番パー3。グリーン左端に振られたピンを攻め、5メートルのフックラインを読んでバーディーを決めた瞬間に感じたという。

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「最高のストロークでした。実は第2日の16番で(3メートルの)バーディーパットを弱々しく右に外した映像を見て、私は本人にLINEを送り、『オフに練習してきたように、小さいストロークでヒットして距離を出していきましょう』と伝えました。その後、『思うように手が動きませんでした。インパクトを意識します』と返信がありました。言葉通り、最終日はしっかりと打てていました。最後はラインの読み違えでしたが、優勝争いの中で堂々とプレーしいたことが立派。上手い選手から、本当に強い選手になった印象です」

 岩井姉妹は8歳からゴルフを始めた。雄士さんが、小学生までボール代無料のリンクスゴルフクラブに連れて来たことがきっかけだ。運動能力が高く、元気よくクラブを振る2人に雄士さんが「今度、サンタさんに何をお願いする?」と聞くと、「ゴルフクラブ」と声を揃えたという。クリスマスの朝、枕元には小さなゴルフバッグが2つ(明愛はブルー、千怜はピンク)。その後、姉妹はリンクスゴルフクラブで永井さんに指導され、成長してきた。

 そして、2学年下の弟・光太も含めて、3人に大きな可能性を感じた永井さんはオーナーに「岩井さんのお子さんに関しては、中学生になってもボール代を無料にしてください」と直談判。岩井家の経済的負担を軽減させている。そんな恩人はツアーには同行せず、「立派になった2人に影響は与えたくないので、本人たちが迷ったり、私が気付いたことがあったら話してみる」という考えでいる。

「ちーちゃんは予選落ちした開幕戦(ダイキンオーキッドレディス)の最中にスイング動画を送ってきましたが、その後は調子がいいみたいです。あきちゃんはプレーオフ1ホール目の第1打で、切り返しのタイミングが少し遅れ、体のねじれが浅くなっていたので、会った時に話してみます」

 最近、2人が永井さんのもとを訪ねたのは、明愛がKKT杯バンテリンレディスオープンでツアー初優勝を飾った翌日の4月17日。そこから約1か月、姉妹はプロテスト合格直後から望んでいた「一緒に優勝争い」と実現させた。「そうなっても、最後まで笑顔で応援し合ってプレーしたい」と事前に話していたような理想とは違い、PO中の2人に会話はなかったが、永井さんには感じるものがあった。

「2人とも楽しそうでした。小さい頃から知っているので、表情を見れば分かります。年間女王の山下さんと戦えていることも、うれしかったと思います。こんな日が来ることは予測していましたが、想定よりも早かったです(笑)。でも、またすぐにあると思います」

 千怜は、自身初の海外メジャー大会となる全米女子オープン(7月)の出場を決めている。明愛も7月3日時点での世界ランキングで75位以内に入れば、出場資格を手にする。現在は88位だが、今月16日朝発表の最新ランキングでの浮上は確実。姉妹同時メジャー出場も現実味を帯びている。そうなっても、永井さんのスタンスは不変。「ここを離れず、必要に応じて2人と連絡を取り合います」と話している。

(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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