儚き10代のサッカーセンス 年齢を重ね不意に消える「上手さ」、逸材の未来を分けるものとは
上田綺世が即答したストライカーとして生き残る術
「頼られる存在でなければならないし、そのためには味方を頼れないといけない」
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日本代表FWである上田綺世(セルクル・ブルージュ)にインタビューで、「ストライカーとは?」と聞いた時、彼はそう即答した。
「お互いの信頼を得て、得られて、ストライカーとして成り立つと思います。一匹狼はダメ。ましてや、僕なんて動き出しが武器で。いくら周りに評価してもらっても、パサーがいないと生きない。自分のゴールは最後の1割、組み立ててくれる9割は別にある。他の選手が自分の色を発揮し、それを成功に終わらせるのが僕の役目。それが自分の中でのストライカーだと思います」
上田は、鹿島アントラーズのユースに昇格することができなかった。そこで自分と対峙する時間を深めたのだろう。どうやったら最大限に生かされるか、そのパスの呼び込み方には研鑽が透けて見える。
大学時代、最後のインタビューだったが、彼はすでに老成していた。
「僕は常に考えてサッカーをしています。茨城の小さな世界だけで生きてきましたが、そこでも他人を観察して。なんとなくですけど、考えを確立してきました」
上手さ。
それだけでプロとして成功したサッカー選手は、おそらく1人もいない。日々、上手さを革新させられたか。それがターニングポイントになるのだ。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)