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儚き10代のサッカーセンス 年齢を重ね不意に消える「上手さ」、逸材の未来を分けるものとは

上田綺世が即答したストライカーとして生き残る術

「頼られる存在でなければならないし、そのためには味方を頼れないといけない」

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 日本代表FWである上田綺世(セルクル・ブルージュ)にインタビューで、「ストライカーとは?」と聞いた時、彼はそう即答した。

「お互いの信頼を得て、得られて、ストライカーとして成り立つと思います。一匹狼はダメ。ましてや、僕なんて動き出しが武器で。いくら周りに評価してもらっても、パサーがいないと生きない。自分のゴールは最後の1割、組み立ててくれる9割は別にある。他の選手が自分の色を発揮し、それを成功に終わらせるのが僕の役目。それが自分の中でのストライカーだと思います」

 上田は、鹿島アントラーズのユースに昇格することができなかった。そこで自分と対峙する時間を深めたのだろう。どうやったら最大限に生かされるか、そのパスの呼び込み方には研鑽が透けて見える。

 大学時代、最後のインタビューだったが、彼はすでに老成していた。

「僕は常に考えてサッカーをしています。茨城の小さな世界だけで生きてきましたが、そこでも他人を観察して。なんとなくですけど、考えを確立してきました」

 上手さ。

 それだけでプロとして成功したサッカー選手は、おそらく1人もいない。日々、上手さを革新させられたか。それがターニングポイントになるのだ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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