那須川天心は若者に伝えたい 誹謗中傷もある生きづらい時代「先生の教えが全てじゃないんだ」
「ボクシングは甘くねぇぞ」 飛んできた否定的な声
多くの世界王者を生んだ名門・帝拳ジムに入門。元世界2階級制覇王者・粟生隆寛トレーナーに師事した。キックの最長6ラウンドと違い、ボクシングは12ラウンド。「短距離走と長距離走」と表現されるほど勝手が違う。同じ格闘技でも、全くの別世界だ。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「マジで10ラウンドも無理だろ」。最初は4ラウンドで疲弊した。重心の位置も違う、相手との距離感も違う。使えるのは2つの拳だけ。「徐々に作り込むしかない」
キック時代の癖を取り除き、長所を残しつつ、ボクシング技術を習得。「練習が楽しくて仕方ない」。2度、スパーリング中心の合宿で米国へ。世界レベルを体感し、自分の立ち位置を知った。
「毎日楽しいし、毎日最高。ストレスがないし、本気で好きなことができている。そういうふうに思わせてくれるボクシング界が好きになった。ずっと青春してる感じ」
60年以上、ボクシング界を見てきた帝拳ジムの本田明彦会長が「考えられないくらいの学習能力があります。あんな選手は見たことがない」と評する才能。「それと、本当に性格が明るい」。これも天賦の才だ。
2月の試合発表会見は銀髪の丸刈りで登場した神童。オーバーサイズのスーツに身を包み、シャツの裾を出した。1年半ほど続けたYouTubeチャンネルも閉鎖。目標だった登録者数100万人を実現した。「ケジメとして辞める」。流行り出したら手を引く。人と違う道を好んだ。
「最近、エンターテインメントが増えすぎていると思う。二番煎じは好きじゃない。時代の逆を行くのがいい。時代を変えるのは飛び抜けた人だと思う」
過去にはバラエティー番組などテレビに多数出演。アスリートの枠を超えて活動した。だが、有名になることで否定的な声も多く耳にした。
「甘くねぇぞ」「通用しねぇだろ」