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吉田麻也と国歌斉唱で話題 車いすの中大サッカー部員・持田温紀がW杯で体験した奇跡の日々

一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が、3月6日に都内で開催した年間表彰式「UNIVAS AWARDS 2022-23」。華やかな雰囲気のなかで学生アスリートや指導者、団体が表彰されたが、全13部門の中で最も大学スポーツらしい賞と言えるのが、「サポーティングスタッフ・オブ・ザ・イヤー」だろう。運動部の活動を日々支える学生を表彰するもので、今年度の最優秀賞は2人。その1人が、中央大学サッカー部の持田温紀さんだ。

スペイン戦前の持田温紀さん。この後の国歌斉唱時に予想もしなかった出来事が待っていた【写真:本人提供】
スペイン戦前の持田温紀さん。この後の国歌斉唱時に予想もしなかった出来事が待っていた【写真:本人提供】

中央大学サッカー部・持田温紀さんインタビュー後編、カタールW杯で話題のシーンを回想

 一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が、3月6日に都内で開催した年間表彰式「UNIVAS AWARDS 2022-23」。華やかな雰囲気のなかで学生アスリートや指導者、団体が表彰されたが、全13部門の中で最も大学スポーツらしい賞と言えるのが、「サポーティングスタッフ・オブ・ザ・イヤー」だろう。運動部の活動を日々支える学生を表彰するもので、今年度の最優秀賞は2人。その1人が、中央大学サッカー部の持田温紀さんだ。

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 4歳の頃から夢中でサッカーボールを追いかけていたが、高校1年生の時に自転車事故によって車いす生活に。自由に歩くことができず、つらい現実を目の当たりにするなかで、再び持田さんに希望の光を与えたのもサッカーだった。中央大に進学後も、様々な縁がありサッカー部に入部。事業本部で営業を担当し、創部以来初のユニフォームスポンサー獲得につなげた。ピッチで戦う選手を陰で支えながら、持田さん自身も再び取り戻した大好きなサッカーで熱くなれる日々――。後編では昨年11、12月に開催されたカタール・ワールドカップ(W杯)を現地観戦し、そこで過ごした奇跡のような日々を振り返る。(取材・文=THE ANSWER編集部・谷沢 直也)

 ◇ ◇ ◇

 日本中が熱狂した昨年末のカタール・ワールドカップ(W杯)。日本代表が戦った4試合の中で最も鮮烈なインパクトを残したのは、2大会連続の決勝トーナメント進出を決めたグループリーグ第3戦のスペイン戦だろう。W杯優勝経験国を相手に2-1の逆転勝利を収め、決勝点を導いた「三笘の1ミリ」も大きな話題を呼んだが、試合前の国歌斉唱でのワンシーンを覚えている人も多いのではないだろうか。整列していた主将DF吉田麻也が、少し離れた位置にいた車いすの日本人サポーターを日本代表の列に引き寄せ、肩に手を回し国歌斉唱をした場面だ。吉田の振る舞いに多くの称賛の声が集まったが、その日本人サポーターこそが持田温紀さんだった。

 中大サッカー部の事業本部に所属する持田さんは、なぜあの日、カタールW杯のピッチにいたのか。スペイン戦での国歌斉唱シーンまでには、激動の3か月と“奇跡”の連続があった。

「人生で初めて海外に行くと決まったのが8月だったんです」

 きっかけは鎌倉インターナショナルFCの四方健太郎オーナーが、中大サッカー部に海外インターンシップの話を持ちかけたこと。これに興味を持った持田さんは翌9月、シンガポールとマレーシアへ向かった。

「僕はもともと海外は怖いなというイメージを持っていたんですが、四方さんの現地でのミッションは結構ハードで、例えば4時間半後に中国語で自己紹介と学校の紹介ができるようになって戻ってこようとか、40人以上の現地の人にインタビューしてまとめようとか……。でも、そうしたミッションを乗り越えていくうちに『海外って楽しいな』と思うようになりました」

 その研修の最終日、参加者全員で「今後半年で達成したい目標」を言っていくことになった。そこで持田さんは、「カタールW杯を現地観戦する」と宣言する。

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